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japanese.china.org.cn |07. 05. 2021

中国アニメで人気の声優 後進育成にも努力重ねる

タグ: 人気の声優

 


レコーディングスタジオでラジオドラマを収録中の阿傑さん

 

     声優の阿傑さん(本名、張傑)は、2009年から劇場版『名探偵コナン』5作品で工藤新一と怪盗キッドの吹き替えを行っている。彼は吹き替え前には毎回、日本語版の声優、山口勝平さんの演技を細部まで丁寧に研究し、息遣いさえもできる限りオリジナルに近付けるが、セリフをより中国的な表現にするときには新一とキッドがまるで中国人になったように本物の中国語を言わせることもある。


    子どもの頃から声に対する感受性が強く、アニメが好きで、吹き替えの演技に特別な関心を持っていた彼は、もともと従事していた旅行業界を離れ、長年の努力を経てウェイボー(ミニブログ)上に400万人余りのファンを持つ有名声優になった。さらに専門の声優事務所「729声工場」を設立し、次世代のスター声優を輩出し続けている。


  ネット声優からプロへ


     阿傑さんは子どもの頃、アニメを見るのが好きだった。当時、中国は『花の子ルンルン』『スマーフ』などの海外アニメを輸入し始めたばかりだった。彼はこうしたアニメを見て、海外アニメの登場人物がなぜ中国語を話せるのだろうかと思い、声優という職業に関心を持ち始めた。生来耳が良かったため、さまざまなアニメの中から同じ声優の声を聞き取ることができた。「配役が違っても、演技が違っても、同一人物の声であると判断できました。私は不思議に思い、彼らはどうやって声で異なる性格の人物を表現しているのかとずっと考えていました」。こうして徐々に声優になる夢が阿傑さんの心に芽生えた。


    大学入試の年、阿傑さんは大学の学生募集要項をくまなく見たが、声優専門の学生募集はどこにも見つからなかった。そこである大学の放送学科を受験した。どちらにしてもマイクの前の仕事だと思ったが、残念なことに面接で不合格となった。その試験問題はニュースをその場で解説するというものであり、これは声で役作りをするという彼がイメージしていた理想とかけ離れていた。その後、彼は自身の夢から徐々に離れていったようで、大学卒業後は旅行社で普通に仕事をしていた。


     当時の中国はインターネットが普及し始めており、お金をためてパソコンを買った阿傑さんが最初にやったことは、インターネットに接続し、吹き替え関連の情報を検索することだった。そして見つけたのが、「中国配音網(中国吹き替えネット)」というウェブサイトだった。このような少数の愛好家のためのサイトを見つけられるとは、彼自身思いもよらなかった。そこには吹き替えの専門的な研修コースや最新作の吹き替え映画の情報が数多く公開され、作品情報を共有するコーナーもあり、多くの吹き替え愛好家が自身の吹き替えた動画の一部をアップロードして交流し、切磋琢磨していた。阿傑さんは早速その中の吹き替え愛好家グループと連絡を取った。「皆さんはどのように吹き替えをしているのですか。皆さんと一緒に遊びたいです」と送信すると、相手から「私たちは遊んでいるのではありません。真剣に吹き替えをしているのです」と返ってきた。これを見て、彼らに尊敬の念を抱いた阿傑さんは、「それは良かった。私もそのように考えていたのです」と送った。


     阿傑さんは数年間勉強し技術を磨いて、アマチュア愛好家のサークルからプロの声優の世界に入った。テレビドラマのエキストラの声を当てることから始まり、脇役の声を担当し、そして人気テレビドラマの主役の吹き替えをするようになって、彼の自由自在の声は徐々に知られるようになった。だが阿傑さんが多くのファンを持ち、アフレコ業界におけるスターの地位を固めたのは、やはりアニメとゲーム作品のおかげだった。中国アニメ『縁結びの妖狐ちゃん』では主人公の前世のキャラクターを演じ、中国ゲームランキングの2016年「最優秀声優」に選ばれ、『マスターオブスキル』では主人公役を演じ、同ランキングの2017年「人気吹き替え」賞を勝ち取った。

 

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