今年、中国共産党は創立100周年を迎える。この1世紀にわたる奮闘の中で、中国は列強の侵略に打ち勝ち、貧困から脱却し、小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的完成という目標を実現した。中国は今、「二つの百周年」を節目とした奮闘目標に向け、新たな旅路へ足を踏み出した。
中国の発展と変化は、外国の人々にとっても明らかだろう。しかしその背後にある努力の軌跡を知る人は決して多くないようだ。先日、北九州市立大学中国語専攻課程4年の選択科目「中国語表現と中国人の社会」のゼミに参加する学生が、葉言材教授の指導の下でドキュメンタリー『習近平の国家統治戦略:この5年間の中国』を視聴し、ディスカッションを行った。学生からは現代中国に対する新たな認識や中国の発展への称賛が聞かれたほか、中日両国間の情報格差などの問題も提起された。
教材に使われた『習近平の国家統治戦略:この5年間の中国』は2017年に制作され、米国のテレビ司会者や欧米の科学者が司会を務めるドキュメンタリーシリーズで、世界の発展にとって大切な時期や、中国の各分野における成果と未来の展望を各人の専門分野で探る内容となっている。
葉教授は学生の卒業研修にこのドキュメンタリーを選んだ理由を、「偶然見て感動したのがきっかけ」と語り、「中国の一般市民でもあまり知らないような感動的な内容が多い。恐らく海外ではもっと知られていないだろう。日本の若者は中国に対する知識に乏しく、中国に対する消極的な世論の影響を受けているので、このドキュメンタリーを学生に見せて話ができればと思った」と意図を語った。
印象とは違う中国に驚きの声
ドキュメンタリーを見たことで、中国への認識を新たにした学生も少なくない。田中あみさんは「中国は科学技術の発展で国内総生産(GDP)が増加しているとは知っていたが、農村地域でもネットワークや電子機器を利用して貧困差が縮まっていることは知らなかった。しかも地方の人々がそれらを使いこなしていることにも驚いた」と語った。石川葵さんは中国の医療問題について、「国民の95%が保険に入り、農村部でも1年たった100元で医療を受けられるとは」と驚く。
湖南省の貧困脱却に関するパートに注目した学生が数人いたのが印象的だった。それはこういう内容だ。湖南省湘西土家(トゥチャ)族・苗(ミャオ)族自治州の十八洞村に住む石爬専さんは夫を亡くし、子どもたちも町に出てしまったため、道路も整備されていない山村で一人田畑を耕す日々。村人は皆、非常に貧しく辛い生活を送っていた。13年、十八洞村が貧困脱却の新たな施策の試験村に選ばれたため、石さんは近所の人々と共に、貧困対策助成金と貯金を合わせて1000ムー(1ムー=約0・067㌶)の広大なキウイ園をつくった。同年、習近平総書記は十八洞村を訪れた際に石さんの家に行った。「玄関先にお客さんが立っていたので中に招き入れたら、村の生活についていろいろ聞かれました」と語る石さん。お客さん」の正体を知ったのはそれからしばらく後のことだった。
末井明莉さんは「人々から忘れ去られた場所にまで貧困脱却の政策が及んでいることに驚いた。貧困脱却計画は各家庭に適した計画で、村の道路整備をしたりするだけでなく、各家庭の条件や境遇を考慮したサービスを提供している」と語る。さらに「習主席が石さんと心のこもった会話をするシーンから、本気で国民の貧困に真摯に向き合う姿勢が感じられた」と感動を語った。
牛田みゆさんは習総書記の「人民を中心に」「共に前進し、一人も欠けてはならぬ」という言葉が最も印象的だったと言う。「貧困救済に大金を注いだことから、貧困問題解決をいかに重視しているか分かった。人口14億人の大国を統治するのは容易ではない。『人民を中心に』という言葉の下、人々の生活を中心に考えて行動している姿が心に残った」と言う。
習近平総書記が関心を寄せた貧困救済の重点地区・十八洞村。村民の積極的な起業で貧困脱却を目指す。大学を卒業した施林嬌さん(右)はUターンして起業、村の魅力で販路を開拓すべく、インターネットのライブ配信で地元を紹介している(新華社)