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japanese.china.org.cn |17. 03. 2023

小林正弘氏:私の北京地下鉄ライフ―カルチャー編

タグ: 地下鉄 文化 通勤 歴史 絵巻
中国網日本語版  |  2023-03-17

文・写真=小林正弘

清華大学法学博士 

Genuineways Law Firm パートナー


 朝、娘を自転車に乗せて学校に送り出し、そのまま地下鉄西二旗駅に直行して職場付近の建国門駅に向かう。これがここ数年の私の通勤ルートだ。毎日同じルートの繰り返しではあるが、楽しみもある。地下鉄構内には北京の雄大な自然や観光スポットを撮影した大型写真や北京の昔ながらの生活を題材にしたパネルなどが至る所に展示されており、通勤しながら北京バーチャルツアーを堪能できるのだ。時には、谷村新司の北京コンサートのポスターなどを発見し、人知れず感動に浸ることもある。構内デザインにも各駅にちなんだ歴史的、文化的要素が取り入れられており、興味は尽きない。


 このような地下鉄カルチャーの中でも一際目を引くのが東四十条駅、建国門駅、西直門駅のプラットホーム両側面の約70メートルにわたる6枚の超巨大壁画だ。これらはいずれも80年代に中国の著名な芸術家によって製作された本物の芸術作品であり、まさに市民に開かれた地下鉄美術館だ。超巨大壁画は長年の地下鉄通過による振動等で劣化、損傷が生じたため、2017年から約4年にわたる困難かつ精巧な修復作業が行われ、現在は再び当時の輝きを取り戻している。


 東四十条駅に到着すると黄金の光と共に武術を鍛錬する壮大な歴史絵巻が展開される。建国門駅では5000年の歴史をもつ中国天文史が宇宙を舞う飛天と共に3000枚の陶磁器制タイルを用いて表現されている。西直門駅では万里の長城が地下鉄ホーム全体に脈々と構築され、その雄大なスケールに思わず息を呑む。この地下鉄美術館に佇み、壁画を隅々まで鑑賞し、中国の悠久なる歴史文化の営みに思いを馳せたいと感じつつ、職場への足を急ぐ毎日だ。

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