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japanese.china.org.cn |24. 06. 2023

中国絵画の世界に触れて=小林正弘氏

タグ: 中国絵画 水墨画 作品 書道家 自然風景
中国網日本語版  |  2023-06-24

文・写真=小林正弘

清華大学法学博士 

Genuineways Law Firm パートナー

 昨年の12月、日中国交正常化50周年を記念し、日本各地をめぐり、仙台にて開催された「桜よ海棠よ永遠に――周恩来と日中友好」写真展に一幅の水墨画が寄贈された。写真展の開幕式に参加した家族が送ってくれた写真を拝見し、その美しさに感銘を受けると同時に、これまでの水墨画のイメージを覆す斬新な表現に深い衝撃を覚えた。それは、著名な水墨画家・李文培先生が創価大学を訪れ、満開に咲き誇る「周夫婦桜」を鑑賞した際の深き感動と万代の日中友好への思いを込めて描かれた作品であった。李先生は長年にわたり日本を拠点に創作活動を展開され、85歳になられた現在も「中国の美しさを全世界に伝えよう」と、水墨画の新しい境地を切り開く創作の日々を送られている。

 そして、本年4月、北京の梅蘭芳記念館にて開催された李文培先生の京劇人物画展を訪れた際、光栄にも李先生から中国画の技法「写意」の心得についてお聞きする機会を得た。それを私なりの理解で表現すれば、「自身の審美眼を研ぎ澄まし、筆先と墨に集中していかに対象物の生命の本質や躍動を表現するかが大切である」と強調されていたように思う。李先生の京劇人物画はただ京劇の名場面を描いたものだけはなく、その京劇俳優の人生、ストーリーを一瞬に凝縮したものと言えよう。役者の目には精気が満ち溢れ、今にも動きだしそうな迫力がある。門外漢の私に対しても、ご自身の作品について丁寧に説明してくださる李先生の謙虚で慈愛に満ちた人格に触れ、深い感動を覚えた。そして「書は人なり」という言葉は中国画にも通じるように思えた。

 私がまだ子供の頃、両親が中国人の友人からプレゼントされた掛け軸を見て、その雄大な自然風景や鮮やかに咲き誇る牡丹など美しさに触れ、「本当にこんな風景があるのだろうか」と幼心にも中国に興味を抱いたものである。それと同時に、「中国の絵画にはどうして絵だけではなく詩まで書かれているのだろう」と常々、不思議に思っていた。

 そんな私の疑問も、娘の中国画の授業を隣で聞いた時に氷解した。先生はすぐに中国画を子供たちに描かせるのではなく、2000年以上に及ぶ中国画の歴史と各王朝ごとの特徴を説明した後、毛筆の正しい持ち方と「とめ」「はね」「はらい」のような書道の基本的な線の書き方を教え始めたのだ。思えば蘇東坡、饒宗頤先生など有名な詩人や書道家は傑出した中国画家でもある。書道と中国画の起源が同一である(「書画同源」)ことに驚かされた。

 悠久でありながら変化し続ける中国画の世界に触れると、その奥深さに興味は尽きることはない。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年6月24日