japanese.china.org.cn |03. 11. 2023 |
滝田洋二郎監督:映画で古いものの伝承意識を喚起できるとよい
写真は滝田洋二郎監督側が提供
アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞した「おくりびと」の滝田洋二郎監督が手がけた初の中国映画『我爸没説的那件事(Silence of Smoke)』が、11月3日に中国本土で一般公開されることが決定した。公開を前に、滝田監督は映画制作のきっかけ、中日両国の映画制作者の協力、無形文化財の保護・伝承などについて、チャイナネットの取材に応じた。
映画制作のきっかけについて、滝田監督は「中国人作家の辛酉氏の同名短編小説「聞煙」を読んだ時、日本の物語にとても似ていると感じた。それから、父親と息子、世代間の話、文化の伝承などは世界で一緒だと思った。2015年に企画を開始し、中国映画市場はその頃から興行的にも市場的にも、強い勢いで世界を席巻し、エネルギーもある。中国の地方の物語を日本人の発想、手法により映画を撮るのはとても面白いと思い、自分のチームを中国に連れてきた」と話した。
滝田監督は両国映画制作者の今回の協力を高く評価した。「中国のチームと組むと面白くなるだろうという発想から、『おくりびと』のメインチームを連れてきた。中国のスタッフもそれを強く意識し、言葉ややり方の違いを乗り越えて現場を流れるようにうまく仕切った。双方に優れた作品を創作しようという同じ目的があるため、効率がよく、近道を互いに選べた。中国の制作部門の指揮系統及びチームの技術力、スピード感、チームワークが素晴らしく、中国の優秀なスタッフと出会えたことは、一番嬉しかった」。
中国の映画市場と創作環境について、滝田監督は「中国の映画市場は比べ物にならないほど素晴らしい。たくさんの映画が生まれる要素、受け入れる要素も揃っているため、これからたくさんのジャンルの映画ができるだろう。そして、中国には世界で1番すばらしい機材が揃っており、映画館も1番最高の環境を提供している。その中で育っていく若者たちに大いに期待できる」と話した。
「古いもの、無形文化財をどのように守っていくかは、日本も直面している課題だと思う。後継者の伝承問題、そして文化財を理解する人が少なくなっている状況は確かに存在している。この映画を通して、少しでも古いものや無形文化財などの保護の気持ちが伝わればいいと思う」と述べた。
滝田監督のきめ細やかな手法で、中国の物語を描いた映画の公開を楽しみにしていると、SNSでコメントした観客も少なくない。