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japanese.china.org.cn |04. 01. 2024 |
活力あふれる農村スポーツ文化が中国を熱くする
文=小林正弘
清華大学法学博士
Genuineways Law Firm パートナー
中国の習近平国家主席は31日、中央広播電視総台とインターネットを通して、2024年に向けた新年の挨拶を発表した。
習主席は挨拶の中で、「この1年の私たちの歩みは、活力に溢れるものだった。成都ではFISUワールドユニバーシティゲームズが、杭州ではアジア大会が盛大に開催され、アスリートたちが立て続けに好成績を打ち立てた。連休中の観光地は人の波で埋め尽くされ、映画市場は盛況が続き、農村部では「村サッカー・スーパーリーグ」の大会や「村の夕べ」のイベントによって活気が醸し出された。低炭素で暖かなライフスタイル、戻ってきた忙しい日々、これらは、幸せな暮らしを求める人々の意志を表し、活力と熱気に溢れる中国の姿を見せてくれた」と語った。
2022年12月初め、中国は新型コロナウイルス感染症に対する防疫政策を最適化し、中国の社会防疫の取り組みは新たな段階に入り、中国国内の移動が自由になった。旅行業が息を吹き返し、スポーツイベントにも観衆と熱狂が戻ってきた。9月に開催された杭州アジア大会では50mバタフライ決勝で白血病を克服して銅メダルを獲得した池江璃花子選手を金メダルを獲得した中国代表の張雨霏選手が称え、互いに涙して抱擁する姿が、無数の人々に大きな感動を与えた。コロナでの隔絶を経て、困難に負けない心、人とのふれあいや友情の尊さをより深く感じたのは筆者だけではないだろう。
杭州アジア大会に参加する張雨霏選手(右)と池江璃花子選手(左) 撮影:新華社記者・杜宇
中国の農村スポーツも中国全土に感動と熱狂を広げている。貴州省の農村(榕江県、人口38.5万人)では、16年前から村民により自発的に組織され、現在は20の村代表チームで構成される「村サッカー・スーパーリーグ」が昨年の夏頃から全国的に脚光を浴び、都市部から多くの人々が高速鉄道などでサッカー観戦に訪れると同時に、スマートフォンでのライブ中継などによりネット観戦も大ブームとなった。報道によれば、2023年の直近100試合での最高観客動員数は6万人を超え、累計観光客数は519万人、旅行総合収入は約60億元(約1200億円)、ネット閲覧回数は480億回に達している。
貴州省榕江県の「村サッカー・スーパーリーグ」 撮影者:新華社記者・欧東衢
普段は様々な職場で働く普通の市民が、仕事終わりに練習を重ね、週末になると小さなサッカースタジアムで躍動する。現地の少数民族の衣装を着飾った応援団や周辺住民と一体となっての至近距離での観戦。都市では見ることが少なくなった盛大な打ち上げ花火や現地の特色ある屋台など、選手たちや現地住民とのふれあいを通じて、現地の文化に没入しながらスポーツ観戦の熱狂に浸ることができるのが村サッカーの魅力だ。そして、その魅力を中国全土に浸透させる原動力が現地住民のサッカー愛と最寄りの高速鉄道駅まで無料で送迎を行うなど、村おこしにかける情熱だろう。観光客の増加に伴い、村に戻って飲食業や宿泊業に従事する若者も増え、村全体の活性化に繋がっている。そして、イギリスのプレミアリーグとの提携も実現し、技術レベルの向上や村から世界を目指す村ドリームの可能性も見えてきた。
このような農村振興の成功例は村サッカーにとどまらない。「村バスケットボールリーグ」や「村の夕べ」など、現地住民の人間的な温かさ、地域・伝統文化への誇りや郷土愛が原動力となり、農村経済、地方都市経済の活力源となっているだけでなく、中国全体を熱くそして温かくしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年1月4日