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japanese.china.org.cn |01. 03. 2024

北京で過ごす元宵節=小林正弘氏

タグ: 元宵節 春節 伝統 工芸品 前門
中国網日本語版  |  2024-03-01

文・写真=小林正弘

清華大学法学博士 

Genuineways Law Firm パートナー

灯篭を 眺めて歩く 元宵節

 元宵節は中国では満月を鑑賞し、灯篭を灯して、白玉を食べながら家族の団欒を楽しむ日だ。春節(旧正月)から数えて15日目に当たるこの日を過ぎると、街頭の春節飾も片付けが開始され、春節ムードもひと段落し、北京の街に人や車が戻り、新しい躍動の一年が本格的にスタートする。

 元宵節を迎えた2月24日、美術教室に通う娘が灯篭の絵を描いてきた。そして、実際の灯篭を見せてあげたいと思い、北京市内の灯篭祭りに行くことにした。大型の灯篭祭り会場は当日チケットがすでに完売しており、相当の人出が予想されたが、勇気を出して天安門広場の南に位置する前門大通りに向かった。ここは事前予約いらず無料で灯篭を楽しめるのだ。

 最寄りの地下鉄前門駅は混雑対策のために使用できず、少し離れた地下鉄珠市口駅から前門へ通じる歩道や歩道橋はすでに多くの観光客で混雑していたが、整然と老人や子供たちに気を配りながらゆっくり進んでいる光景は印象に残った。

 前門大通りに到着すると、最後の春節ムードを楽しみに来た大勢の市民が大河の流れのように見え、その上には無数の赤い灯篭に映し出された中国風建築群が幻想的に浮かび上がっていた。その中を時折、満員の路面電車が往復し、車窓からは可愛い子供たちが好奇心に溢れる顔を覗かせている。

 横道に入ると手作りの伝統工芸品、辰年グッズや提灯を扱う出店、輪投げなど昔ながらの遊びを体験できる大型会場があり、ズラリと並んだ景品を前に、大人も童心に戻ってゲームに熱中し、大勢の野次馬がそれを見て楽しんでいた。

 大道りの両側に並ぶ商店街には国潮という近年の中国ブランドブームを反映して、レトロな中国的要素と現代的センスを上手くミックスした人民珈琲館や中国スイーツ店などが進出しており、若者たちがそれを楽しんでいるのが印象的だった。私も人民珈琲を味わおうと思ったが、注文から20分待ちの盛況ぶりに敢え無く断念した。

 前門大通りを一通り周り終えると、隣接する現代的なショッピングストリート・北京坊にも足を運び、野外小物市場や彩豊かな篭の下を散策し、最後にMUJIホテルからライトアップされた天安門広場の夜景を一望し帰途についた。帰り際に空を見上げると元宵節の満月が吉祥と安寧を願うかのように前門大通りを行き交う人々を静かに照らしていた。

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年3月1日