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japanese.china.org.cn |22. 11. 2024 |
人間中心のAI開発・活用により普遍的恩恵を世界に=小林正弘氏
文=小林正弘
清華大学法学博士
Genuineways Law Firm パートナー
今回で11回目となる2024年世界インターネット大会烏鎮サミットが、「人間中心の AI 活用でより良きデジタル未来を実現 手を携えてサイバースペース運命共同体を構築」とのテーマを掲げ、11月19日から22日まで浙江省烏鎮で開催された。同サミットの永久開催地である烏鎮は明・清代の建築を残す美しき江南水郷であると同時に、AIを駆使した河川水位調節、スマート病院など最先端のデジタルスマート未来都市として発展を続けている。
会場ではテンセントやファーウェイなど360社余りの企業が人型ロボット、実用型大規模AIモデル、スマート操縦席技術システムなどAIの先端技術と最新の応用成果を展示し、130余りの国・地域から1800名余りの参加者を魅了した。
サミットでは「AIの発展とガバナンス」が焦点となった。習近平国家主席は、ビデオメッセージにて、「現在、新たな科学技術革命と産業変革が急激に進展しており、人工知能(AI)などの新技術が今まさに発展のさなかにあり、人類の世界に対する認知と世界を変える力を大幅に向上させたと同時に、一連の予測困難なリスクと課題ももたらした。我々はデジタル化、ネットワーク化、スマート化という発展の大きな流れをしっかりと捉え、イノベーションを第一の原動力とし、セキュリティをボトムラインとし、普遍的恩恵を価値として追求すべきである」とし、AIガバナンス(安全)の重要性と公益性(普遍的恩恵)を強調した意義は非常に大きい。
世界を席巻する対話型AIサービス「チャットGPT」を提供するオープンAIに対しては、安全よりも営利を重視し、安全対策後回しで開発を加速させる姿勢に懸念の声があがっている。AIとの対話は人間の知的活動に大きな影響を与える可能性があるとの指摘もある。倫理を無視した科学知識・技術の使用によって、人類は核兵器を生み出し、地球そのものを破滅の危機に晒している。無秩序なAI開発競争によってもたらされるリスクは、不確実であり、制御不能となった場合の影響は計り知れない。
安全性の確保はAI技術をコントロールするための最低限の要求であり、急速かつ高度な技術発展の時代には、同時にそれを使う側である人間の精神性を高めていくことが要請される。AI技術を通じて人類に普遍的恩恵をもたらすには、「生命の尊厳性」を根本から自覚し、AIによって支配・奴隷化されない人間そのものの力をさらに高めていくことが要請される。この分野での中国政府の長期的視野に立ったリーダーシップに心から期待したい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年11月22日