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japanese.china.org.cn |02. 01. 2025

長江デルタ地帯訪問で垣間見た中国経済の更なる発展の兆し

タグ: 新たな質の生産力 長江デルタ 経済発展
中国網日本語版  |  2025-01-02

文・写真=小林正弘

清華大学法学博士 

Genuineways Law Firm パートナー

習近平国家主席は2024年12月31日に2025年に向けた新年の挨拶を発表し、過去一年間の中国経済について、以下のように述べた。すなわち、「国内外の環境の変化による影響に積極的に対応し、一連の複合的な政策を打ち出し、質の高い発展をしっかりと後押ししてきた。中国経済の景気が上向きに転じ、国内総生産(GDP)は130兆元(2800兆円)台に上る見込みである。食糧生産高は7億トンを突破し、食糧自給率はさらに上がっている。地域発展の協力と基盤がより強固なものになり、新型都市化と農村部振興の融合と協調も一層活性化した。グリーン・低炭素型発展のさらなる進展により、美しい中国という絵巻が眼前に広がりつつある。各地の土地柄に合わせて、新たな質の生産力の育成に取り組んでいる。新エネルギー車の年間生産量が初めて1000万台の大台を突破し、ICチップ、人工知能、量子通信といった分野において新たな成果を挙げるなど、新しい産業、業態、モデルが相次いで生み出されている」

筆者は年末に、中国経済を支える主要なエンジンの一つと言える長江デルタ地帯の上海市、南通市、南京市、蘇州市を一週間ほど訪問し、このような新型都市化と農村部振興、新しい産業育成への取り組みの状況を目の当たりにする機会に恵まれた。

南通市の国際コンベンションセンター

南通市では上海第三国際空港の開発計画や8本の長江を跨ぐ大橋や川底トンネルの建設により長江デルタの交通・物流ハブとして周辺経済圏との連動を高めるのみならず、ハイテク企業の揺籃である中関村の全国的なネットワーク及びリソースとも連動し、ハイエンドの紡績、船舶、新材料、次世代情報技術、新エネルギー産業の新興に注力していた。優れた立地条件や土地柄を活かした新たな質の生産力の育成への取り組みは印象に深く残った。 

南京市の超高層ビル群

南京市の新済州国家湿地公園

南京市では建鄴区金融シティの超高層ビル群に圧倒されると同時に、長江の中州に位置する新済州国家湿地公園の生態環境保護の取り組みによって多種多様な渡り鳥が飛来するようになり、船が往来する中州付近では20頭余りの河イルカが見られるまでに生態環境の修復が進んでおり、人と自然が共存しながら地域経済の発展を目指す新型都市化のモデルを学ぶことができた。その後、南京大虐殺記念館を訪問し旧日本軍の侵略の歴史を学び恒久平和への祈りを捧げた。

相城区のシティモデル

蘇州市の相城区では、自動運転のタクシー・バス・宅配車などが運行しているだけでなく、道路の歩行者・車·バイク等の動きを24時間体制でモニタリングしリアルタイムで立体デジタル映像化して道路交通管理を集中して行うコントロールセンターや自動運転技術のデータ収集を行うハイテクインフラを企業に提供し最先端の自動運転自動車関連産業の育成と技術革新・製品開発をサポートするモデル区が蘇州高速鉄道北駅を中心とする新都市として出現しており、中国企業に加え日本企業を含む多くの外国企業も次世代技術の開発に取り組んでいる様子が伺えた。

上海市のコミュニティー施設

上海市では徐匯区バンド西岸エリアにてコンクリート工場跡地などを再開発し、市民がジョギング、アート、美しい景観を楽しめる7.41キロの川岸遊歩道やマイクロソフト、BMW、アリババなど、大手デジタル金融・メディア・ハイテク企業が集積する最先端ビジネスエリア、高齢者へ食事や読書スペースを提供するコミュニティー施設など、ビジネスとレジャーが調和した新しい都市空間の開発が進められていた。また、浦東エリアでは張江ロボットバレーにて脳波によるドローン操縦、医療・介護リハビリ先進機器、工業用ロボットなど最新AIロボット産業の発展の様子を体感することができた。

今回訪れたのは長江デルタ地帯の一部に過ぎないが、その規模と発展のスピードは想像を超えるものであり、長期的な国家発展戦略に基づき、高付加価値の新たな産業を育成し、ダイナミックに変化を続ける中国の各都市の発展に学ぶべき点は非常に多い。今後も経済発展と自然環境保護を両立し、誰もが温かな思いやりを感じられる社会の建設によって世界に大いに寄与し続けることを願ってやまない。末筆ながら今回の訪問でお世話になったすべての方々に深く感謝したい。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年1月2日