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japanese.china.org.cn |13. 05. 2025 | ![]() |
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中国修学旅行を探る旅=小林正弘氏
文・写真=小林正弘
清華大学法学博士
Genuineways Law Firm パートナー
3月下旬、さいたま市で高校教員をされているS先生が北京を訪れ、筆者は清華大学の訪問に同行する機会に恵まれた。訪問に先立ちS先生から「年末に香港、深圳と行き、特に深圳は人の良い方が多いと感じました。様々な意味で、日本人はもっと中国と交流を深めていくべきだと確信をして帰ってきたところですが、日本の現状として、積極的に中国交流を行いたいとする雰囲気はありません。そこで、まずはアジアトップの清華大と北京大の視察を行いたい」とのメッセージを頂いていた。
その後、詳しくお話を伺ったところ、該当校は中国(江蘇省無錫市、南京市方面)への修学旅行を行っていたが、感染病SARSの流行など種々の事情により2002年頃に交流が途絶えてしまった。S先生はその交流を再開する方法を模索するため今回は北京と鄭州の訪問を計画されていた。現地の信頼できる方の助けを得ることができたらと思い、昨年に鄭州を訪問した際に大変にお世話になった河南省国際文化交流中心の何琳先生にS先生のお話を伝えたところ、鄭州市訪問について全面的なサポートを約束して下さった。実は、1994年に何先生が中国国家観光局駐日事務所に勤務されていた時、ご自身自らが鄭州市を代表して該当校に視察と相談に赴かれ、学校の先生と学生にそれぞれ講義を行い、学校側が鄭州への修学旅行を決定するために献身的にご尽力され、鄭州市への修学旅行が開始されたのだ。当時も学校や保護者の理解を得ることはとても大変であり、その壁を破ったのは日中友好への直向きな熱意と努力であった。日中友好への熱い思いがお二人を繋ぎ合わせたように思えてならない。
清華大学では清華大学日本研究センターを訪問し、中日青年交流の重要性を学んだ後、図書館や食堂などを訪れ大学生のキャンパスライフを垣間見ることができた。図書館は大学の心臓であり、その国の未来を映す鏡といえる。私自身、清華大学留学時代に朝早くから席を取り合い、真剣に勉強に励む中国人学生の姿を目の当たりにし衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えている。清華大学の開学当初に建設され100年以上の歴史を刻む旧館から徐々に増築された新館など清華大学にはキャンパスに多くの図書館が点在している。その後、学生食堂で清華大学外文系で教鞭をとられる倉重拓先生と日本人留学生達と一緒に食事をしながら充実した大学生活や中国各地を旅した話などで盛り上った。食後は、かつて円明園の一部であった美しい中国伝統建築や庭園、現代的な教学棟や自転車で行き交う学生などを眺めながらキャンパスを散策し大学見学を終えた。
次の日、S先生は高速鉄道で何先生の待つ鄭州へと旅立っていった。鄭州市は中国八大古都の一つとされ、商代城壁遺跡や漢字の起源に関わる甲骨文字など貴重な歴史文化遺産や特色ある食文化が魅力的であるのみならず、緑と調和したスマートデジタル都市としての発展も著しい。日本の若者が隣国中国を訪問し大きな刺激を受け、日中の若者たちの友情が育まれることはどんなに素晴らしいことだろうか。S先生の熱意に敬意を表するとともに、今回お世話になったすべての方々の厚意に心から感謝したい。そして、近い将来、中国への修学旅行が実現し、新たな日中青年交流の歴史が開かれることを切に願う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年5月13日
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