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japanese.china.org.cn |24. 07. 2025

「日本人ファースト」を掲げる極右勢力、日本政治に揺さぶり

タグ: 参議院議員選挙 参政党
中国網日本語版  |  2025-07-24

先ほど終了した日本の参議院議員選挙において、参政党を中心とする極右勢力の議席数が大幅に増加し、世論の注目を集める一大焦点となった。アナリストは、日本国民の経済的な満足感が広く低下している状況を背景に、参政党が「日本人ファースト」といった排外的な主張とSNSを活用した動員を通じて影響力を急速に拡大させたと指摘する。同党の急成長は、日本政治のさらなる右傾化を推し進め、社会の分断を深め、日本の対外政策や近隣諸国との関係に影響を及ぼす可能性がある。新華社が伝えた。

アナリストは、参政党が今回の選挙で自民党から多くの票を奪ったと見ている。東京大学の境家史郎教授は、安倍晋三元首相の政権時代に自民党を支持していた保守層の有権者が近年、参政党などの極右政党に流れ始めていると指摘する。TBSの調査では、参政党支持者の実に97%が「現在の自民党は安倍政権時代よりも劣っている」と考えていることが明らかになった。

この失望感は、経済や国民生活の悪化と密接に関連している。最近では、米を筆頭とする食品などの生活必需品の価格上昇が日本社会の焦点となり、多くの人々が与党の対応に不満を抱いている。参政党が掲げる食料自給率を100%まで引き上げる政策や、税負担や社会保障費の軽減といった公約はまさに国民生活の痛みどころを突いており、支持者の急増につながった大きな要因だ。

同時に、急激な円安と訪日外国人観光客の急増により、日本における外国人の旺盛な消費力と日本人の生活の圧迫感が対照的だ。複数の日本メディアによる街頭インタビューでは、多くの市民が「外国人観光客の大量消費が日本の物価を押し上げている」「公共交通機関が外国人観光客で混雑している」などと不満を述べている。SNS上では、日本政府が外国人に奨学金や社会保険料などの優遇策を実施しているとする根拠の薄い主張も広がっている。こうした不満が蔓延する中、一部の有権者は参政党が訴える「日本人ファースト」の主張に共感を抱いている。

参政党の台頭には、情報伝達経路の変化も関連している。早稲田大学の田辺俊介教授は、人々が情報を受け取る主要な手段が新聞・テレビなどの伝統的なメディアからSNSへと移行した現在、扇情的な表現を用いるネガティブな情報はSNS上で拡散されやすいと指摘する。参政党はまさに、この情報伝達方法の変化を利用し、SNSを通じて「不安」や「取り残された感覚」といった感情を絶えず増幅させることで、現状に不満を持つ大量の有権者たちを取り込むことに成功したのだ。

慶應義塾大学の庄司克宏名誉教授は、参政党の台頭はヨーロッパの極右政党が近年辿ってきた経路と極めて類似していると指摘する。すなわち、伝統的な政党が腐敗を指摘され、経済発展が停滞し、社会に排外主義的傾向がみられる状況下で、SNSを使って不満を煽り、影響力を急速に拡大させるというものだ。参政党は日本でこの「ヨーロッパ・モデル」を再現したのだ。

7月13日、日本千葉県にて開催された参政党の街頭演説会に参加する支持者たち。新華社記者賈浩成 撮影

アナリストは、参政党の台頭はおそらく、将来の日本政治の風向きと社会的雰囲気の変化の予兆と考えている。

その関連する影響については、今回の選挙戦中にすでに兆しが見られた。参政党が「外国人政策」を世論の中心的な争点に押し上げた結果、各党が意思表示を迫られたのだ。日本の石破茂首相は今月中旬、外国人関連の問題(特に社会保険料未払い問題など)に対応するため、関係省庁の横断的な常設機関として「外国人との秩序ある共生社会推進室」の設置を発表した。この動きは、自民党による参政党の「外国人福祉制限」主張への対応として広く受け止められており、参政党の議題設定能力における影響力の大きさを浮き彫りにした。

「日本経済新聞」 は選挙後の政局に関して、権力構造が複雑化する国会において、少数決定的な勢力として小党が台頭する可能性があると分析している。参政党は政治的取引を通じて、自らの主張を政策レベルにまで押し上げる可能性があるのだ。沖縄国際大学の佐藤学教授は、もし参政党がキーとなる役割を発揮すれば、もともと中道路線を歩んでいた政党でさえ排外主義的な色彩を強めざるを得なくなり、結果として日本政治全体がさらに右傾化すると警鐘を鳴らしている。

清華大学の劉江永教授は、今回の選挙結果は、極右勢力が日本の政界で次第に確固たる存在となり、一方で民生改善と対外的穏健路線を主張する中道左派政党が勢いを失うと指摘。このような状況は日本の将来の対外政策をより過激なものに導きかねず、周辺国にとって警戒すべき事態であるという。

日本の山口大学の纐緖厚名誉教授は、排外思想が日本で拡散を続けるならば、日本とアジア近隣諸国との関係に悪影響が及ぶと懸念。日本は現在の状況下ではなお一層、平和主義を着実に貫徹し、極右思想の蔓延を阻止し、アジアの近隣諸国の信頼を獲得するよう努めるべきと訴えた。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年7月24日