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japanese.china.org.cn |12. 08. 2025

緑豊かなメガスマート交通都市・武漢を旅して=小林正弘氏

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  |  2025-08-12

文・写真=小林正弘

清華大学法学博士 Genuineways IP Inc.パートナー 

(合同写真は主催側が提供)

筆者は、7月27日から8月4日にかけて江蘇省放送テレビ総局(集団)が主催し、複数の中国および海外メディアで構成された取材チーム約20名が長江中下流地域の都市を巡るプロジェクト「長江の旅 世界と手を携えて」に参加する機会に恵まれた。

27日、長江の旅のスタート地である人口約1360万人の巨大都市・武漢に参加者が集結。顔合わせの食事会で各局の記者とカメラマンが取材ソースを共有し、旅と同時進行で現地取材の内容を国内外に発信する創造的な試みであることを知る。

28日午前、最初の目的地である楊泗港長江大橋へ向かうバスの車窓からは大小数多くの湖に蓮の花が咲き誇り、緑の中に高層ビル群が浮かび、長江の支流が都市を縦横に走る風景が見られた。かつて李白がこの地を「江城」と呼んだのも頷けた。

2019年に開通した楊泗港長江大橋には中国企業によって開発された多くの最先端技術が採用されている。長江を跨ぐ大橋は2層道路構造で主橋の長さは1.7㎞に及ぶ吊り橋であり、橋の支える水中橋脚は存在しない。吊り橋の重量を支えるケーブルの強度や耐久性を考えただけでも技術の高さに驚かされた。滔々と流れる長江に架かる壮大な楊泗港長江大橋の下を次々と大型貨物線が通過しゆく光景は中国経済の弛みない歩みを象徴しているかのようだ。

壮大な楊泗港長江大橋に圧倒された後、次なる目的地である明代の1637年創業、300年以上の歴史があり北京の同仁堂と並び中国4大漢方薬店の一つと称される「葉開泰」を訪れた。ここは葉開泰に伝わる伝統漢方薬の無形文化遺産生産技術の伝承拠点であると同時に、中医診療による患者毎に異なる処方に基づき漢方薬を自動生産するスマート製薬に2年ほど前から取り組んでいる。実際にスマート製薬工場を案内して頂くと、漢方薬剤の精密調合・加工ラインにはほぼ人影がなく精密機器によって漢方薬が製造されて行く様子を目の当たりにすることができた。伝統の継承に止まらず、ハイテクを駆使して中国漢方薬の新しい未来を開く先進的な取り組みは、日本の清酒業など後継者や人手不足に直面する他の伝統産業の継承と発展にとっても大きな希望となり、学ぶべきことは多い。

「葉開泰」にて宋代から伝わる健康体操「八段錦」を体験し、中医診療を受けて心身ともにリフレッシュした取材チーム一行は、現地電動自動車企業「東風猛士」を視察した。「東風猛士」は軍事車両の生産企業であったが、近年は、探知ドローンの収納、四駆斜め方向走行など特殊技術を民間用オフロード車に搭載した製品開発を行い、中国最大の砂漠ラリー・タクラマカンラリーに参加するなど、高級オフロードSUVとしてのブランド力構築に注力している。実際に極限走行試験コースにて、「猛士917」に試乗し、傾斜40度での走行や水中・悪路走行などを体験し強靭な走行性能を実感することができた。

夕食後は、黄鶴楼に登り長江とその支流沿いに浮かび上がる武漢の夜景を一望する機会に恵まれた。蛇山の頂に屹立し、李白をはじめ歴代の文人が訪れ、「天下江山第一楼(天下の風景の中で最も優れた楼閣)」と讃えられた黄鶴楼は三国時代の223年に建築され、その後1800年にわたる歴史の中で10回以上の再建や大規模修繕が繰り返されてきた。現在の黄鶴楼は1985年に清代の風貌を模し鉄筋コンクリート構造を採用し再建されたものである。黄鶴楼全体をスクリーンとして歴代の黄鶴楼の面影と物語を投影する映像ショーや敷地内の池の畔を舞台に繰り広げられる芸術的な舞踊アトラクションは訪れたものを魅了し、時が経つのも忘れさせる。

翌朝は武漢の新たな交通ツール・自動運転懸垂式モノレール「光谷生態大道軌道観光ライン」体験が待っていた。懸垂式モノレールは車両がレールにぶら下がっている形態であり、車窓のみならず、一部ガラス張りの車両床窓からは、普通は見れない床下の風景も楽しむことが出来るのが特徴だ。床窓の大きさも大小2種類が用意されており、高所が苦手な乗客にも細やかな配慮がなされている。子供たちは床窓に立ち嬉々として空中散歩を楽しんでいた。光谷観光ライン沿線には緑豊かなハイテク企業都市やスポーツセンター、植物園など武漢のハイテクスマート生態都市の街づくりの様子も眺望することが出来る。筆者が乗った区間でも足元の車窓から美しい湿地帯や河川の上を通過する景色を満喫することが出来た。

武漢の旅を締めくくったは無人自動運転タクシー「蘿蔔快跑」(ローブォ・クァイパオ)であった。繁華街のショッピングモールで食事を済ませた後、携帯アプリで出発地点と目的地を設定すると数分後に無人自動運転タクシーが現れた。比較的交通量が多いエリアにも関わらず、車線変更も自在にこなし安定した走りを披露してくれた。ゆったりとした車内空間、マッサージ機能つきのシート、走行位置情報がわかるタッチパネルなど中国メーカーの電気自動車の品質の高さにも驚かされた。報道によると武漢市内を400台以上の無人自動運転タクシーが運行しており、武漢の12の行政区、約3千平方キロをカバーし、長江大橋なども自動運転で通過し、区を跨いで利用することができる。中国のハイテク革命が実際に市民に新たな交通手段として恩恵をもたらすと同時に、日夜、更なる技術向上のためのデータ収集と試行錯誤が行われている。

5年前にコロナの厳しい冬の時期を耐え抜いた武漢は、黄鶴楼の如く見事に復活し、かつて革命の起点となった如く、革新の気風と活力に溢れる緑豊かなメガスマート交通都市として大発展を遂げていた。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年8月12日