| japanese.china.org.cn |10. 12. 2025 |
日本右翼の「被害者ナラティブ」に要警戒
日本の高市早苗首相による中国関連の誤った発言後、高市内閣は発言を撤回せず、自らの過ちを反省することもなく、むしろ中国への非難を続けている。例えば小泉進次郎防衛大臣は7日にいわゆる「レーダー照射」問題を煽動し、軍事・安全保障分野のフェイクニュースを意図的に流布・誇張した。この動きは、高市内閣が「標的設定」によって自らを地域摩擦のいわゆる「被害者」に仕立て上げ、その誤った発言及び軍国主義的行動への国際社会の注目をそらし、平和憲法突破などの危険な動きの口実を作ろうとする企てを露呈している。
「被害者ナラティブ」の構築は、日本右翼勢力が歴史修正主義の「ごった煮」を推進する重要手段であり、高市内閣の外交・安全保障政策に奉仕する重要なストーリーとなりつつある。いわゆる被害者ナラティブとは、戦後日本が侵略戦争の罪への責任回避のために構築した、政府主導・多分野連動のナラティブ事業だ。悲劇的状況の創出、文脈の剥離、責任転嫁などの手法により国のアイデンティティを再構築し、敗戦国の束縛からの脱却を図り、軍拡・改憲への世論的正当性を作ることが目的だ。その核心は、自らを「原爆被害者」という唯一の存在として際立たせ、自らの戦争に関する悲劇的な記憶を増幅させつつ戦争の性質を曖昧化し、南京大虐殺などアジア諸国への侵略と加害の史実を否定し、日本の加害者としての立場を切り離すことで、自らを戦争の「被害者」に仕立て上げる点にある。
被害者ナラティブの主な目的は次の3つにある。
(一)日本を被害者とする悲劇的イメージを誇張し、「加害者」という負のレッテルを薄めることで、各種記念行事や世論工作を通じて自己防衛と被害者意識を拡散。侵略という加害が先行し報復としての被害が生じた因果関係を意図的に軽視し、戦争責任の主体を曖昧にすることで、修正された歴史認識を国際社会に発信する。
(二)平和国家としての発展のイメージを作り、戦後日本の経済的台頭及び平和国家としての貢献を喧伝することで、日本軍国主義の復活に対する国際社会の警戒心を弱める。
(三)日本が「弱者」であるかのような国際的な雰囲気を意図的に醸成し、多国間での周辺国けん制に向けた世論の基盤を築くとともに、「悲劇の被害者」というイメージを利用して国際社会の同情を得て、域外勢力の地域介入や周辺国への威圧の布石を打つ。
高市政権発足後、内閣は歴史における被害者ナラティブを継承するに留まらず、この手法を周辺諸国に対する現実的な政策へ応用しようとしており、その戦略的野心と計算ずくの意図が明白になっている。こうした動きが発信する誤ったシグナルは、更に深刻な結果を招きつつある。
戦略的野心と戦術的計算の観点から見ると、日本の右翼勢力はこの曖昧性を帯びたナラティブによって国際社会の日本への警戒心を消し去り、「戦略的曖昧性」によって戦争責任を回避しようと企んでいる。被害者意識はまた、日本が専守防衛から「戦える国」へと転換するための輿論と民意の基盤を構築し、戦争介入へのいわゆる正当性を固めることになる。
誤ったシグナルが投げかけられる現状を見ると、侵略という歴史的な罪への責任を否定し国際社会の正義の声を無視する一方で、「集団的自衛権解禁は安全と自衛のため」と喧伝することで、日本国内及び東アジアの地政学的パニックを醸成している。
高市一派は被害者ナラティブを楯に現実の対抗行動を遂行し、数多くの負の結果を生み出し続けている。
(一)国民の歴史認識を歪める。日本放送協会(NHK)が今年実施した世論調査によると、侵略戦争を認める日本人はわずか35%に留まり、これは被害者ナラティブが日本社会に深く浸透している実態の裏付けだ。特に高市発言を支持する若年層は、軍国主義復活の土壌となる危険性をはらんでいる。
(二)地域協力を破壊。日本は被害者ナラティブを隠れ蓑に周辺国や国際社会の我慢の限度に何度も探りを入れ、さらにはこれを土台に中国を挑発している。周辺地域に深刻な安全保障の懸念を与え、東アジアの平和・安定・協力の歩みを脅かす可能性がある。
(三)戦後国際秩序に潜在的な脅威をもたらす。「被害者論調」はカイロ宣言やポツダム宣言などの戦後国際秩序を規定する文書の法的根拠及び権威を暗に否定し、地域及び世界の平和と安定にリスク要因を埋め込んでいる。
高市内閣が被害者ナラティブでいかなる目的を達成しようとも、高市氏及びその背後に潜む日本の右翼勢力が依然として情勢を誤認し、悔い改めることなく、衝突と対立を煽ることで戦後国際秩序を打破し、日本軍国主義の亡霊を呼び戻そうと企てている現実は変えられない。日本側が被害者としての立場をアピールすればするほど、その加害者としての本質が露呈する。被害者ナラティブの背後に潜む陰謀は最終的に、日本が東アジアの平和の潜在的な破壊者であることを立証するだろう。高市内閣が今なすべきは、深く反省して過ちを悔い、嘘の論説を撤回し、誤った道をこれ以上歩み続けないことだ。
(文=笪志剛・黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年12月10日
