| japanese.china.org.cn |25. 12. 2025 |
日本、利上げも円安を止められず
日本銀行は19日に政策金利を0.5%から0.75%へ引き上げ、30年ぶりの高水準にした。しかしながらこの利上げは円安傾向を改善できず、むしろ市場の財政不安を深め「債券・為替の同時安」を招く一方で、「資産保有層の富の増加と負債層の貧困化」という悪循環を生み出した。今後の日本経済は不透明性に直面し、日銀金融政策の行方にも注視が必要だ。
今回の利上げは日本政府がさまざまな圧力に直面した結果の「妥協策」と解される。その背景には三つの要因がある。第一に、財政拡大政策を推進する政府にとって、円安進行とインフレリスクの深刻化は看過できない状況に至った。これは日銀が利上げを先送りし続ければ、持続的な円安が物価抑制の努力を相殺しかねないというジレンマだ。第二に、金融政策への介入は日銀の独立性を脅かし、「日本銀行法」違反の懸念が生じる。第三に、米政府が日銀の政策動向に目を光らせている。これらの複合的要因が政府に態度変更を迫った結果と言える。
日銀による利上げの国民への影響は「二極化」が顕著だ。預金者や資産保有層は恩恵を受ける。三菱UFJ・三井住友・みずほの各メガバンクは来年2月2日から普通預金金利を0.2%から0.3%へ引き上げる(33年ぶりの高水準)。経済界の試算では、預金金利上昇は年間1兆円のプラス効果をもたらす。一方で、変動金利型住宅ローン基準である短期プライムレートが1.875%から2.125%に上昇し、約5千億円の追加負担が家計を圧迫する。
企業は資金調達が苦しい状況に陥る。預金金利上昇は資金に余裕がある企業には有利だが、貸出金利上昇は原材料高・人手不足に苦しむ企業の負担増となる。中小企業の賃上げ抑制効果の有無については今後の経過を見守る必要がある。
政府の財政圧迫も無視できない。金利上昇で国債利払い費が膨らみ、次年度の国債償還・利払い費は30兆円超(過去最大)と試算されている。政府債務総額の対GDP比が260%を超え、与野党が減税・支出拡大を主張する状況で、財政の持続性のリスクが顕在化した。
関連施策の影響で国債は「売り浴びせ」状態に。東京市場で19日、10年物国債利回りが一時2.020%まで急騰(26年ぶり高値)し、2%の心理的警戒ラインを突破した。業界関係者の分析では、高市早苗首相の財政拡大政策に伴う「高市トレード」が広がる中での日銀利上げが財政不安を深め、国債売りを加速させている。
注目すべきは利上げでも円高にならなかった点だ。同日の円相場は1ドル=157円台(1カ月ぶり安値)まで下落。財政拡大と円安が続くならば利上げ加速もやむを得ないが、逆に経済悪化や市場の混乱が生じれば利上げ減速もあり得るとの見方がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年12月25日
