| japanese.china.org.cn |29. 12. 2025 |
「今年を振り返る」政治の右傾化が急加速 日本はどこへ向かうのか
台湾関連の誤った発言から一連の軍備拡張政策まで、首相就任からわずか2ヶ月の右翼政治家の高市早苗氏は、日本政治の右傾化を急加速させようとしている。
右傾化は今年の日本政界の顕著な特徴であり、そのペースは多くの人々の予想を超え、強い警戒と深い憂慮を引き起こしている。
7月19日夜、参院選前夜。東京の芝公園の広場で、筆者はカメラを背負い、ボイスレコーダーを握りしめ、新興極右政党「参政党」の選挙集会を取材していた。集会には老若男女が詰めかけ、演説に拍手と歓声を送る熱気に包まれていた。
地元の記者によると、参政党の集会参加者は数年前まではまばらだったという。同党は日本人の経済的不安を鋭く捉え、「日本人ファースト」をスローガンに掲げた。選挙の結果、議席数を大幅に伸ばし、最大のダークホースとなった。
この7月の選挙は政界に連鎖反応を引き起こした。与党・自民党は再び敗北し、国会で少数派に転落。石破茂首相(当時)は党内「クーデター」で辞任に追い込まれた。保守層の支持再結集を図る自民党は、強硬な保守派で知られる高市氏を党総裁兼首相の座に押し上げた。
選挙後、自民党と26年間の連立を組んできた穏健派・公明党が「決別」を宣言。高市氏は即座に右翼政党「日本維新の会」と連携した。「自公」から「自維」への転換により、与党連立パートナーは右翼政策の「抑止力」から「推進力」へと変質した。
高市氏は就任早々、右翼政策の急加速に着手した。右翼勢力への「忠誠」を示して政権基盤を固めると同時に、「外の脅威」を煽ることで国内の不満をそらす狙いだ。
危険な兆候は、10月24日の初の施政方針演説で現れていた。防衛費大幅増額や「安保関連3文書」改定を掲げたこの演説に対し、朝日新聞は直ちに「戦後日本の進路を大きく変えようとする動きに強い憂慮を覚える」と批判した。
その言葉も虚しく、11月7日の国会で高市氏は「台湾有事は日本の存立危機事態になりうる」と公言した。越えてはならない一線を越え、長年温めてきた政治の謀略を露わにした。この発言は日本の有識者から批判されるとともに、地域社会や国際社会の強い非難と警戒を招いた。
高市氏の発言後、日本の複数の元首相らが警告を発した。市民は寒さをものともせず首相官邸前に集まり、「高市降ろし」「平和を守れ」と叫んだ。ある抗議者は筆者に、「戦争を煽る首相はいらない」と話した。
高市氏の手法は日本社会の分断をさらに深めている。各種デモが急増し、ネット上では移民や歴史問題を巡る極右的言説が蔓延。多くの左派学者がネットで炎上の標的となっている。
自民党総裁選で高市氏が叫んだ「日本を取り戻す」という言葉の真意について今、多くの人が気づき始めている。高市氏が望むのは、全面的に右傾化した日本、軍国主義の亡霊が蘇る日本、戦後国際秩序を破壊しようとする日本なのだ。
高市政権下の日本はどこへ向かうのか。法政大学の白鳥浩教授は「高市氏は多く問題を抱え、ポピュリズム的手法で保守層の支持を得続け、政権維持を図るだろう」と分析する。
「社会新報」が最近掲載した社説は記憶に新しく、日本の有識者たちが抱える深い憂いを代弁している。「高市首相の存在そのものが日本の存立危機だ」
(文=新華社記者・陳沢安)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年12月29日
