| japanese.china.org.cn |08. 01. 2026 |
建前と本音の乖離の先で、「強く豊かな日本列島」は描けるか
新年早々、高市早苗首相の言動が、再び世論の注目を集めている。
5日、歴代首相の恒例行事として伊勢神宮を参拝した際には、安倍晋三元首相の遺影をさながらパフォーマンスのように用いて振る舞い、その参拝後の年頭記者会見では強硬な対中認識と、実質的な再軍事化に向けた決意を改めて世に示した。
会見で高市首相は、中国との関係について、目新しさのない「戦略的互恵関係の包括的推進」という従来の表現を使い、中国との対話にも「オープンである」と繰り返した。だが、その直後、「それから」という接続詞を境に、話題は日本を取り巻く安全保障情勢の「加速度的な変化」へと転じた。その流れのまま、「日本の独立と平和、国民の命と暮らしを守り抜く」ためとして、安保三文書の年内改定を目指す意欲が示された。
一連の発言を通して聞くと、高市氏が最終的に何を伝えたいのか、その真意が見えてこない。中国との関係構築の内容を具体的に語らず、危機感や決意だけを前面に押し出す、この落差は聞き手に強い違和感を残す。
そこで、人間の主観的な解釈をできるだけ排するため、複数の大規模言語モデル(LLM)による分析も試みた。中国製、米国製など複数のAIを試したが、導き出される結果は共通していた。それは、「このスピーチの話者は、表向きは中国との関係の重要性を強調するが、それは外交上の定型表現にとどまり、内実としては中国に対する深い不信と警戒感が色濃く反映されている」という評価である。さらに、「中国を潜在的な脅威と位置づけ、それを根拠として自国の軍備増強を正当化し、加速させたいという意図が読み取れる」という分析も続いた。
もっとも、こうした解釈は、特別に高度な分析を必要とするものでもない。日本の言論界では、早くから同様の懸念が示されてきた。雑誌『世界』元編集長の岡本厚氏は、昨年12月8日の集会で、高市首相が頻繁に口にする「対話」という言葉について、「本当の対話は、相手を尊重し、対等な立場で相手を理解することから始まる」と指摘した上で、「高市首相の姿勢では、全く対話として成り立たない」と批判している。また、元朝日新聞記者の佐藤章氏も、年明けのSNSで、高市氏の背後には「日本の極右が取り憑かれている悪霊が連なる」と表現し、強い危機感をあらわにした。
この高市カラーの強硬な政治姿勢とは対照的に、日本の経済界では不安が着実に広がっている。
『産経新聞』によると、関西経済連合会会長の松本正義氏は5日、高市首相の答弁について、「(大阪・関西)万博中にあのコメントがあったら(と思うと)、私はぞっとした」と語り、答弁を指して「あれはもうだめだ。日本の万博がけがれるという感じだ」と述べた。
さらに、『日本経済新聞』の関連記事からも、日本の大手企業経営者が依然として中国市場を成長の機会と捉え、日中関係の悪化がもたらす影響を懸念する様子がうかがえる。
伊藤忠商事の岡藤正広会長兼CEOは、「中国にはなおチャンスがある」と述べ、日系企業の中国での事業継続を主張した。実際、伊藤忠は中国のスポーツブームを追い風に、子会社デサントを通じた衣料品販売を伸ばしている。また、商船三井の橋本剛社長は、日中関係の悪化が造船業や物流業のコスト上昇につながることを懸念し、塩野義製薬の手代木功社長は、中国への原薬依存が高い現状を踏まえ、日中関係の緊張は日本の医療現場に深刻な危機をもたらしかねないと危惧している。
こうしたビジネスの現場からの声が示しているのは、中国と日本が経済面で深く結びついているという現実である。協力とウィンウィンの関係を構築することは現実的な選択肢であり、対立や敵対をあおる姿勢は、最終的に自国の利益を損なう結果を招くのみである。
同じく新年早々、中国をめぐっては二つの動きが注目を集めている。
一つは、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領の中国公式訪問である。200人を超えるビジネスリーダーを伴った今回の訪中で、李大統領は両国の経済関係者を前に、「中国は韓国にとって、千金にも代えがたい良き隣人だ」と述べた。そのうえで、「遠きを知りて、近きを知らず」であってはならないとして、韓中両国が良き友人、良きパートナーとなることを望む考えを強調した。この実務的で理性的な対中外交姿勢は、中国政府のみならず、民間レベルでも好意的に受け止められている。
もう一つは、中国商務部が発表した、軍民両用(デュアルユース)品目に関する対日輸出管理の強化である。商務部は昨年12月の段階で、「日本側が意固地に突き進むなら、中国側は必要な措置を講じる」と明言しており、今回の措置はその延長線上にあるものと位置づけられる。
しかし、日本側、とりわけ高市首相は、国会答弁から2カ月を経ても、この問題を直視する姿勢すら見せていない。それどころか、中国を一方的に「脅威」と位置づけ、日本の再軍事化の口実として語り続けている。中国による輸出管理強化は、こうした日本側の態度を背景に踏み切られたものと受け止めるのが自然だろう。中国が譲れない一線としてきた主権や領土保全の問題で強硬な立場を示す一方で、中国に対しては、対中攻撃用兵器の製造に転用されかねない素材の供給を引き続き求める。こうした対応は、外交・安全保障政策としての一貫性を欠いている。
新年の始まりにあたり、高市首相は「日本列島の隅々までを強く豊かにして、次の世代に引き継いでいく」と抱負を語った。だが、長期にわたるデフレからようやく脱しつつある日本が、足元の緩やかな成長を維持し、潜在成長率の引き上げや実質賃金の停滞といった構造的課題を克服していくためには、開かれた内外市場が不可欠である。言うまでもなく、中国との協力関係もその重要な要素の一つだ。そうであるにもかかわらず、現在の高市政権は、そうした協力の余地を自ら狭める方向へと歩みを進めているように映る。
確かに、一連の言動によって「高市カラー」はいっそう鮮明になった。しかし、「日本列島の隅々までを強く豊かにする」というビジョンは、対立と警戒を前提としたこの路線の先に、本当に実現し得るのだろうか。(CMG日本語論説員)
「中国国際放送局日本語版」より2026年1月8日
