| japanese.china.org.cn |17. 07. 2026 |
藤井氏の公開書簡の裏にある、日本のより危険な誤算
日本経済新聞社論説主幹の藤井彰夫氏は先日、米大統領に向けて再び公開書簡を発表した。米国が昨年4月に「相互関税」という棍棒を振りかざした際にも、藤井氏は公開書簡で思いとどまるよう促し、貿易を一国による威圧の道具に変えてはならないと警告した。藤井氏の焦りは今、さらに深まっている。書簡の中で藤井氏は、米国が「世界の信頼を失いつつあり、ソフトパワーが低下しているように見える」と記し、末尾では「第三次世界大戦勃発前」に、米国には「世界を結束させる力」を取り戻してほしいとの願いを示した。
この書簡が示唆に富むのは、日本の戦略エリートが米国の混乱に抱く懸念のためだけではなく、むしろ日本自身の戦略的ジレンマを露呈しているためだ。藤井氏のような戦略エリートは、米国の信用低下を認識していないわけでも、国際秩序の緩みを感じ取っていないわけでもない。逆説的ではあるが、彼らはリスクを認識すればするほど、米国が一刻も早く本来の位置に戻ることを期待するばかりで、「米国中心の秩序」という想像力から抜け出す意志も力も持ち合わせていない。
さらに危険なのは、高市早苗氏をはじめとする日本の保守政治の強硬路線が、こうした焦りをより急進的な方向へ押し進めている点だ。それは一見、日本の地位を高めようとしているように見えるが、実際にはより強硬な姿勢によって対米依存を深め、アジアで新たな安全保障上のリスクを拡散している。
過去の経験を見れば、日本は今日、ある意味で「ニクソン・ショックの再来」に直面していると言えるかもしれない。1971年、ニクソン政権下の米国は日本を迂回して秘密裏に中国と接触し、さらにニクソン訪中を急きょ発表した。日本政府は事前にほとんど何も把握しておらず、米国のアジア戦略転換によって不意を突かれた。半世紀余りを経た現在、同様の構造的な困惑が再浮上している。
今日の日本の強硬派は、「台湾有事」の喧伝、「反撃能力」の強化、防衛費増額、武器輸出規制の緩和、さらには日比相互アクセス協定の推進に至るまで、再び「米国が長期的に対中対抗を続ける」を前提に自国の戦略を賭けている。
しかし、米国の戦略はもともと日本のために作られたものではない。かつて米国は日本を迂回して対中関係改善に踏み切ったが、今日においても、自国の利益に応じて中国との対立を管理し、優先順位を再設定する可能性がある。たとえ日本が自らを米国のアジア最重要の同盟国と考えていても、変えられない現実がある。すなわち、米国が戦略の盤面を作り直す際に、同盟国は常に「棋士」とは限らず、再配置される「駒」にすぎない場合もあるということだ。
もし中米関係に段階的安定化や危機管理の局面が生じれば、日本の強硬派が想定する長期的・全面的対立構図は衝撃を受けることになる。この「ニクソン・ショック」的な困惑こそ、日本の戦略的苦境の縮図だ。安全保障で米国に依存するほど、日本は米国の戦略調整に翻弄される運命から逃れられなくなる。同盟を利用して自国の地位を高めようとするほど、米国が再び盤面を作り直す際に、「駒」という役割に回る可能性が上がる。
高市路線の一つ目の誤算は、軍事的正常化を国の正常化と取り違えている点だ。国が「正常」であるかは、より強大な軍事力を持てるかではなく、自らの力を責任ある形で扱えるかで決まる。高市路線の危険性は、戦後日本が再び信頼を獲得する基盤を「束縛」と見なし、本来負うべき歴史的責任を国の負担と語り、軍事拡張を「正常な国」への回帰と粉飾している点にある。
二つ目の誤算は、同盟への依存を戦略的自立と取り違えている点だ。真の戦略的自立とは、まず自国の安全保障上の利益と、同盟国のグローバル戦略上の必要性を冷静に区別し、大国間競争の中でも判断力と戦略的余地を保持することを意味する。ところが高市路線はその逆で、日本の安全保障を米国のグローバル戦略にさらに深く結び付け、日本をよりいっそう米国の戦略から切り離せない存在にしている。
三つ目の誤算は、安全保障上の波及効果を地域安定と取り違えている点だ。日比による安全保障協力が近年、急速に強化されている。日比接近の真の危険性は、海洋境界、安全保障協力、米国の同盟ネットワーク、日本の軍事的正常化プロセス、そしていわゆる「第一列島線」ナラティブを結びつけ、局地的な紛争が体系的な対決に拡大しやすくしている点にある。
これら三つの誤算が重なり合うことで、日本の現在の安全保障路線における最も危険な内在的論理が形成されている。すなわち、軍事拡張を国の正常化と語り、対米依存を戦略的自立と語り、安全保障圧力の拡散を地域安定として粉飾する論理だ。その結果、日本が安全を求める方法そのものが、アジアの安全保障環境における新たな不安定要因となっている。自立を求める方法が、米国システムへの従属を深めてている。正常な国としての地位を求める方法が、アジアにおける日本への信頼の基盤を損なっている。
藤井氏の公開書簡は、米国の秩序喪失が同盟国に不安をもたらしていることを改めて示した。日本にとってのより深い問題とは、米国による「世界再結束」を待つことではなく、高市氏のような政治的な無謀な動きが、日本の焦りを新たな地域のリスクに変えるのを避けることだ。日本は「正常な国」であることを急いで証明しようとするほど、地域の現実と歴史的責任の間でより冷静な立ち位置を見出す必要がある。アジアにおいて日本がまず証明すべきなのは、自らがどれほど強くなれるかではなく、真に節度をわきまえられるかだ。
(筆者=黎海川 アジア太平洋問題時事評論家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2026年7月17日
