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japanese.china.org.cn |29. 07. 2026

北京昌平の一体型文化センターでの京劇発表会 暮らしに根ざす地域コミュニティー

タグ: 文化 教育 施設  京劇
中国網日本語版  |  2026-07-29

文・写真=小林正弘

清華大学法学博士 Genuineways IP Inc.パートナー

7月27日月曜日。今日は4歳から京劇を習う小学5年生の娘の発表会の日で、午前9時に北京の北西に位置する昌平区天通苑文化芸術センター4階の365シアターにやってきた。午前中は京劇用の化粧とリハーサル、午後1時半から開演だ。これまでの京劇専門劇場とは趣が異なり、今回の発表会は多目的の青年劇場を備えた映画館での開催であった。舞台裏から入った娘は最初は「舞台が少し狭い」と文句を言っていたが、舞台に面した階段ホール式の約500席の客席や新型の舞台設備を見ると、「今までの会場よりもよいかも」とすぐに気に入り、喜々として舞台裏へと消えていった。

開演まで時間ができた筆者は他の階や周囲も探検してみることにした。3階は絵画・書画教室や舞踊トレーニングルームなど芸術が主題の空間で、夏休みに入った子供たちが熱心に絵画の制作に取り組んでいた。

2階は児童書や一般書など各ジャンル別の図書室や文化講座用の教室があり、どこも満席で書棚のスペースまで利用して仕事や試験・宿題に真剣に取り組む人々の姿が印象的であった。図書の貸出は貸出返却機に何冊かをまとめて置くだけで本が自動で識別される仕組みでありデジタル化が進んでいた。

1階は美術館、書店、レストラン、受付があり、廊下は昌平区の観光名所の明十三陵や豊かな自然をテーマに写真ギャラリーとなっており、市民の郷土への誇りが感じられた。地下一階には、卓球・ボクシング教室や美容室があり、スポーツと生活の空間であった。卓球ルームでは子供は激しく特訓を行っており、廊下などの空きスペースではコーチが子供たちに体力向上のトレーニングを行っている。近年の教育改革により、高校入試では体育の成績も重視されることから中国では体育の個人レッスンのニーズが高まっているが、炎天下ではなくクーラーの効いた文化センターでのトレーニングはなかなかよい選択だと感心した。

2021年5月にオープンした総建築面積3.5万平方メートルの天通苑文化芸術センターはかつて老朽化し廃棄された商業デパートであった。しかし、現在は昌平区回天地域(回龍観・天通苑エリア)の85万人の住民にサービスを提供する複合型文化施設として生まれ変わり、地域住民の暮らしに密着した文化的ランドマーク、そして心のよりどころとなっている。周辺のすぐ隣には大型ショッピングセンターがあり、その向かいには清華大学長庚病院の医療施設群や住宅マンション群が並び立ち、この地域の生活水準の向上を伺うことができた。

大型ショッピングセンターで簡単に昼食を済ますと、いよいよ発表会が開演。京劇の煌びやかな衣装を纏った子供たちが、舞台横に陣取った京劇楽団の生演奏で普段の練習の成果を思う存分に発揮する姿は、演技の巧拙に関わらず、微笑ましい。子供たちの家族が中心の観客席からは暖かい拍手や「ハオ!(好、よし)」との声援が送られている。私は右手の携帯で動画を録画し、左手にはカメラを持つ二刀流で娘の出番を待った。

娘が演じたのは「四郎探母・座宮」という演目で、赤子を抱いた役者が出てきたが、化粧で普段の娘と別人に変身しており、最初は誰だか分からなかったが、大舞台での落ち着いた立ち居振る舞いと高く甘い抑揚の効いた掛け合いの声に、娘の成長を確かに実感することができた。

京劇は化粧の際に、釣り目を作るために頭部の布を強く締め上げる。娘も演目の前にその影響で悪心を催し吐いてしまったが、「その後はすっきりした」と演技が終わった後の舞台裏でケロッと語っていた。日頃から熱心に指導してくださる京劇教室・元興社の先生方に感謝の念が溢れると共に、地域住民と一体となって文化を育む昌平区の新たな魅力を発見でき、有意義で忘れがたい夏の一日となった。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2026年7月29日