| japanese.china.org.cn |13. 08. 2026 |
『緑水青山』がつなぐ日常 中国に広がる生態文明のかたち=小林正弘氏
文・写真=小林正弘
清華大学法学博士 Genuineways IP Inc.パートナー
8月15日を中国が社会全体の生態文明意識の向上を目的とする「全国生態の日」と定めて今年で第4年目となる。記念式典は広大な草原・森林、湖や河川など豊富な水資源の保護など総合的な生態保護への取組みにより、環境保全の分野で大きな成果を挙げ、2025年に国家生態文明建設モデル地区に選ばれた内蒙古自治区呼倫貝爾(フルンボイル)市で開催される。
筆者は北京で生活して18年になるが、留学当時、急に風が強くなり、空が暗いオレンジや黄色に染まる黄砂によく驚いたものであった。しかし、ここ数年はそのような黄砂がほぼ見られなくなった。PM2.5による大気汚染も大幅に改善し、空気清浄機を使用する日もかなり少なくなった。

北京の黄砂発生源は60%以上は内蒙古自治区からであり、フルンボイル市での各種環境プロジェクトによる砂漠地の減少が北京の黄砂減少にも、そして日本を含む周辺国への影響の減少にも大きく寄与しているのを思うと東アジア全体が環境運命共同体だと実感する。
現地小学校に通う娘は学校の宿題で土壌汚染に関する発表があるからと一緒にPPT作り、筆者が電気を消し忘れる何度も注意してくれる。学校でも環境教育がしっかりなされていると感じる。外食をする際には、残った料理をテイクアウトするのは当たり前になっている。筆者も年に数回は民間ボランティア団体・徳立墨芳緑化団の植樹活動に参加させて頂き、中国人の友人たちと河北省北部の張北高原で樟子松などを植え、生態保護の理念を学んでいる。

家のすぐ近くには自転車専用道路がある。毎年その整備が進み距離も伸びており、通勤や運動に自転車を利用する人々も多くなってきている。通勤ルートにも緑や花が増え街中でもちょっとした森林浴を楽しめる遊歩道やジョギングコースの整備も進んでいる。


上海の半馬蘇河公園を訪れた際にはかつて汚染が深刻であった21キロにわたる川沿いの旧工場跡地が緑が眩しく、遊歩道、船乗り場、休憩施設などを楽しめる文化観光スポットへと再開発され、南京市新済州国家湿地公園では長江中洲での環境保護により戻ってきた河イルカを見ることもできた。

果たしてこのような環境保護とエコライフの理念、すなわち生態文明建設の原動力はどこにあるのだろうか。
「緑水青山は金山銀山である(豊かな自然は金銀同様の価値がある)」との言葉がある。これは2005年8月15日に習近平主席(当時浙江省党委員会書記)が浙江省安吉県の余村を視察した際に語った生態文明建設の中核理念であり、その背景には「天人合一(人間と自然が調和する)」という中国伝統思想の智慧も脈打つ。このような生態保護と経済発展は二者択一ではなく、有機農業やエコツーリズムなどを通じて、農村部の人々も都市部の人々もより豊かな生活を送る道があるとの考え方は、今の中国社会に広く受け入れられ、その理念に基づいて街づくりが行われているように感じる。
同時に、中国では環境保護や生態文明建設に関する法整備も進められている。広大な国土と地域ごとの発展状況の違いを背景に、多様な課題への対応が求められる中、中国政府が掲げる生態文明理念に基づき、民法典に次ぐ大規模な法典となる『中華人民共和国生態環境法典』が8月15日に正式施行される。5編1242条から成り、「グリーン低炭素発展編」を世界で初めて独立させ、カーボンニュートラルに関する法的義務を明確にした。罰則は大幅に強化され、悪質な違反には最高500万元の罰金や二重処罰(法人・個人)が適用される。
中国の生態文明建設への着実かつ先進的な取組みは重要な示唆に富んでいる。今後、中国が益々、模範的な生態文明建設の実践を通じて、地球規模の気候変動対策にもリーダーシップを発揮していくことを心から期待したい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2026年8月13日
