| japanese.china.org.cn |08. 09. 2026 |
アジア太平洋メディアハイレベルフォーラムで各国記者が見たイノベーションの最前線=小林正弘氏
文=小林正弘
清華大学法学博士 Genuineways IP Inc.パートナー
中国広東省深セン市で5日、アジア太平洋メディアハイレベルフォーラムが開催された。テーマは「アジア太平洋共同体の繁栄への道を共に築く――メディアの共通認識と行動」。40以上の国・地域、国連機関、国際組織の代表400人余りが参加した。
会議の一環として9月2日から4日まで、約180名の参加者が3つのテーマ別ルートに分かれて、広州、仏山、深セン、東莞、珠海、中山の6都市を訪問した。この地域は「粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市クラスター)」と呼ばれ、「活力溢れる国際都市群」および「グローバル科学技術イノベーションセンター」の構築が行われている。全長約55キロメートルの海上大橋が香港・珠海・澳門を繋ぎ、広州・深セン・香港間の高速鉄道ならびに時速160キロの広州地下鉄18号線がこの大湾区「1時間生活圏」を実現し、ルールやサービスの融合も進み、人材・モノ・資金の効率的な流動が加速している。2025年世界知的所有権機関(WIPO)イノベーションクラスターランキングでは、これまで1位であった東京・横浜エリアを追い越し、深セン・香港・広州エリアが1位を獲得している。
深センではほぼすべてのバス・タクシーはEV車となっている。参加者はEV製造世界最大手BYDを訪れ、EVを試乗し乗り心地を体感し、マイナス30度の極寒環境下に24時間置いたEVでの12分フル充電テストなどを視察。深セン福田区ではマングローブ保護区にてドローンでモニタリングする生態保護の取り組みなどハイテク技術を駆使したグリーン都市としての取り組みを視察。東莞ではベッド用マットレス大手慕思(ムース)の工場で、5Gロボットアームがマットレスを自動裁断・組み立てなど工場のグレードアップ・無人化、広州南沙の自動化埠頭ターミナルでは河川・海運・鉄道のコンテナを無人搬送車(AGV)が運ぶ省人化と効率化、中山・明陽集団では海上風力発電の大型ブレードなどを視察した。インドネシア、アメリカ、韓国など様々な国の参加者から実際に目にした中国の発展スピードとイノベーションの数々に驚きの声が相次いだ。
筆者が昨年、深セン大学などを訪れた際には、半導体研究に精力的に取り組んでいる様子、きれいな空気、高層ビルと緑豊かな自然が調和した景観、そして香港に比べて格段にリーズナブルな物価によって香港からの買い物客で賑わう様子が印象的であった。80年代に始まった改革開放政策によって、かつては貧しい漁村であった深センはBYDやファーウェイに代表される中国イノベーションの強力なエンジンへと生まれ変わった。そして、コロナ期間中も、不透明な国際情勢下、半導体規制や関税等の外圧や様々な国内課題等が厳しさを増す中、産業の高度化や革新を継続し大きな発展を遂げている。こうした中国の発展状況をありのままにリアルタイムで各国に伝えることが、日々、ハイスピードで変化する中国への認識を改め、中国との向き合い方や新たな協力の機会を掴む上で極めて重要となる。
5日のフォーラムでは、開放・イノベーション・協力を重視し、デジタル・スマート・グリーン分野でのメディア協力を促進する「深セン・コンセンサス」が採択された。メディア関係者が見た粤港澳大湾区の発展状況は各国に発信され、APEC「中国イヤー」の機運を高めることになる。同フォーラムの成功は本年11月に深センで開催されるAPEC首脳会議がアジア太平洋地域繁栄での経済協力、そして共同体意識を深める重要な場となることを予感させる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2026年9月8日
