こうしたなか唯一の救いは、人類がすでに火星に行くことに成功していることだ。欧州宇宙機関、ロシア、中国、アメリカは2050年にはすでに火星に人を送り出しているとみられる。
しかし火星移住の150年後、有史以来の強烈な太陽風が地球と火星を襲う。その結果インターネットを含む通信が不能となり、入植者は火星で孤立する。
23世紀には生物が6回目の絶滅の危機を迎える。両生類が最も深刻な影響を受け、1000種類以上のカエルやトカゲなどが姿を消す。
絶滅が心配されているのは両生類だけではない。鳥類や哺乳動物、昆虫などの数千種類も地球上から消失する。2200~2300年の間はさらに状況は深刻。グリーンランドの氷河が溶け始めるため、海面は20フィート上昇する。
民族の対立と資源の奪い合いが深刻化する中東では人が住めなくなり、カナダの凍土がそれらの難民に提供される。かつて肥沃なことで有名だった南アメリカやアフリカ南部では栽培に適した土地のうち5分の1が失われ、農業の中心地はアメリカや中国、ロシアなどに移る。
24世紀になると火星は植民地機能を取り戻し、110億人に達した地球の人口の一部が火星に移住する。一旦火星に住んだ人は人口が過密で資源が枯渇した地球にはもはや戻らなくなる。
氷河が消失したグリーンランドでは地殻の強度が弱まり、地震や津波が北大西洋を襲う。24世紀末には南極の氷河が減少を始め、25世紀末には海面上昇が30フィートに達する。
地球全体の排出問題はさらに深刻で数千年にわたって影響を及ぼすことも考えられる。しかし今後すべての状況がこのように推移するとは限らない。地球の温度上昇を摂氏2.7度以内に抑えることができれば、すべてを解決することは無理にしても、数百万人の人が家を失くす事態は免れることができる。













