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japanese.china.org.cn |17. 08. 2023

飼育員の沈偉さん、動物の赤ちゃんの「父親」になり20年

タグ: 動物の赤ちゃんの「父親」
中国網日本語版  |  2023-08-17

 

写真はCFPより


 退役した沈偉さんは2003年に永川楽和楽都動物救助繁殖センターを訪れ、動物飼育員になった。


 沈さんは、「私の主な仕事は、動物の母親に捨てられた赤ちゃんを救助することだ」と話す。


 一部の動物の出産時には、母親がさまざまな理由により赤ちゃんを育てない、もしくは育てられない場合がある。この時の赤ちゃんの命は最もか弱く、最も丁寧な世話を必要とする。


 沈さんは2013年1月の早朝に獣舎を点検した際に、カンガルーの母親が地面に倒れて死んでいるのを発見した。20メートル離れた所で小さなカンガルーが横たわり、うめき声をあげ、震えていた。


 生まれたばかりのカンガルーは各種機能器官が完全に発育しておらず、地面に下りて活動できるようになるのは母親の袋の中で6、7カ月成長してからだ。正式に母乳を離れるのは1年後。この時期で袋から離れれば早産だ。早産のカンガルーの人工飼育は、野生動物人工繁殖・飼育の大きな難題であり、当時国内にはほぼ成功経験がなかった。


 沈さんは諦めず、カンガルーの赤ちゃんの世話を担当し、「かりそめの父」になり、「小米渣」と名付けた。沈さんはその後毎日カモシカ館に行き新鮮な母乳を搾り、煮沸し冷却し、母乳に最も近い温度になるよう正確に検温した。「小米渣」は当時、2時間に1回、毎日12回ミルクを飲んだ。沈さんは毎日付き添ったが、当時は環境が整っておらず、夜は板の上に横になり小休憩を取るしかなかった。


 沈さんは毎日同じ時間に「小米渣」にミルクを与え続けた。「小米渣」は3歳ぐらいになると体が強くなり、徐々に離乳した。これは早産カンガルー「小米渣」の人工飼育の成功を意味する。3年間の取り組み、1000日を超える日夜の働きにより、沈さんは国内のカンガルー人工飼育成功の第一人者になった。


 沈さんは長年の飼育活動において、ある動物の母親は子育ての経験がなく、最初の出産後に赤ちゃんをまったく世話しないことに気づいた。双子を出産し一匹のみを世話することもあった。さらに授乳から数日後に急に苛立ち、さらには赤ちゃんを蹴って育児放棄することもあった。これらの赤ちゃんの飼育は沈さんの仕事になった。


 動物の赤ちゃんを育てる道において、経験は重要な参考材料にしかならない。小さな動物の品種、年齢、身体状況などに基づき対応を変えなければならない。沈さんの元まで運ばれてくる動物の赤ちゃんのほぼすべてが虫の息だが、沈さんは常に生きる希望をもたらすことができる。


 沈さんは2020年以降にチームを率い、アフリカライオン、トラ、ホワイトタイガー、リスザル、ワオキツネザル、オオカミなどの30数匹の赤ちゃんの人工飼育に成功した。


 沈さんは長年に渡り、育児ケースの使用、母乳の代替品、哺乳瓶及び吸口の選択、気温と湿度の調節、清潔度、排便刺激方法などの試みを繰り返し、人工飼育の多くの難題を解消した。動物の赤ちゃんを人工飼育する成熟した経験を総括し、これを余すところなく身近な同僚に教えた。


 沈さんは「これらの動物の赤ちゃんの父親になるには、忍耐力、細やかさ、我慢強さ、責任感が必要だ。私は自分の努力により小さな動物たちを生かそうと思っただけだ。命に価値はつけられず、生きる希望を伝えるほど嬉しいことはない」と話す。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年8月17日

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