香港特別行政区の曽蔭権行政長官はこのほど、特区政府迎賓館で新華社の取材に応じた。曽長官は返還後10年間の香港の道のりは、非凡な過程であったと語った。「わたしの全体的な感じとして、香港は1997年以前よりもさらに堅固で、さらに成熟し、将来の道をさらに理解するようになっている」――。

  ▽返還後の10年は成功の10年

  曽長官は特区政府高官として、アジア金融危機、世界不況、新型肺炎（SARS）などの厳しい試練を乗り越えてきた。曽長官は「過去10年間を振り返ると、香港が困難にある時期、中央政府は常に力強い支援を差し伸べてくれた。香港人は国家へのアイデンティティを日増しに高め、また国家の進歩を心から誇りに思っている」「返還後10年で、香港のこれまでの生活様式、香港人の価値観、香港人が愛する自由、香港人が重視する法治・公平な社会、流通貨幣・・・・香港の1つ1つの価値は弱まるどころか、さらに高まりを見せている」と述べた。

  さらに、香港が返還後も従来の姿と既存の価値観を維持しただけでなく、金融面などで国家の発展に寄与してきたことを指摘。「今見ると、『1国』も『2制度』も、香港で明らかに成功を収め、実行に移されている。総じて言えば、この10年は、香港にとって成功の10年だった」と述べた。

　▽香港の精神は「永遠に屈せず」

  1997年7月1日、香港は中国に返還され、曽蔭権氏は香港特別行政区（特区）初の財政司司長となった。2001年5月、曽氏は特区政府政務司司長の職務を引継ぎ、2005年6月には、特区2人目の行政長官の補欠選挙で当選した。そして今年3月25日、曽氏は特区3人目の行政長官の選挙において、再び高い支持率で当選、4月2日に国務院により正式に任命された。任期は2007年7月1日～2012年6月30日。

  香港返還以来10年間、特区の重要な指導者を務めてきた曽行政長官は、香港がアジア金融危機、鳥インフルエンザ、SARSなど、さまざまな起伏を乗り越えてきたことについて、「全ての突発的事件が、経済的あるいは社会的に香港に変化をもたらした。しかし私たちはこれらの困難を一つ一つ克服してきた」と述べる。曽行政長官は、これらの起伏とともに、香港の事件対応能力も向上してきたとし、「香港では事件が発生するたびに、すぐに総括を行い、迅速に防止措置を採る。この伝統は今後も続けていく。香港の精神は『永遠に屈せず』だ」と述べる。

　　▽香港の発展を新たな高いレベルに

  近年、中国大陸部と香港の経済貿易関係はますます緊密になってきた。国が昨年制定した「第11次五カ年計画」（2006年～2010年）では、香港の機能的位置づけと発展のニーズを十分に考慮するとともに、中国の長期的発展とも関連付けている。中でも国は香港の金融、物流、観光、コンサルティングなどサービス業の発展を支持しており、国際的な金融、貿易、海上運輸業などにおける香港の中心的地位を保持することが言及されている。

  香港特別行政区（特区）政府は昨年9月、香港で「『第11次五カ年計画』と香港の発展」と題する経済サミットを開き、香港の学者、さまざまな業界の代表者を集め、香港がどのように「第11次五カ年計画」を実施していくかについて検討を行った。曽蔭権行政長官は、「特区政府は今後5年間、行動綱領を設けて200以上の方策を提起し、一つ一つ着実に実施していく計画だ」と述べる。

  曽行政長官は香港の発展だけを考慮せず、行政長官としての職責をしっかりと認識しており、「基本法にはっきりと書いてあるように、私は国に対して責任を持つとともに、香港市民に対しても責任を持たなければならない。つまり、香港の生活を向上すると同時に、国に対する貢献も行わなければならない」と述べる。

  曽行政長官はまた、香港と大陸部都市の相互補完性は強く、両者の関係は「ゼロサムゲーム」ではないと強調。「香港が金融業を発展させれば、大陸部市場の発展にとっても必ず貢献となる。今後5年間で、私は香港の発展を新たな高いレベルに引き上げる自信がある」と自信たっぷりに述べた。 

  「人民網日本語版」2007年6月21日