2007年の大学院入学試験が終了し、卒業生の就職活動がピークを迎えようとしている。
大学生に「職業発展計画調査」を実施したところ、現在就職活動中の卒業生の希望初任給は平均1500元であったが、同じ大学内の1年生は将来の希望初任給を約3000元としていた。
北京市が実施した高校生に対する調査結果によると、大学卒業生の初任給が1千元をやや上回る程度の現状の中で、高校生は「受け入れられる最低初任給」を約2800元と回答したという。
高校生も大学生も卒業前は誰もが「夢」を見ている。卒業に直面してはじめて、夢と現実の大きな落差が理解できる。
このような落差は、学生の職業選択に影響し、将来の社会人としての発展にも影響していく。就職に対する期待と現実の落差が生じる原因としては次のようなものが考えられる。
(1)成功した人物になるといういびつな考えの植付け。両親、学校、社会全体が、小さい時から子供たちに「大学に入学し有名校を卒業すれば将来は明るい」という一種の観念を植付けている。そこで学生たちも素直に勉強や進学が就職と結びついていると考え、自身の社会人としての発展を考える者は少ない。卒業する時になって、心の中で期待していた「将来」観を持って仕事を探すとき、失望することは避けられない。
(2)家庭教育の方法。両親の多くが子供たちにできるだけ良い生活条件を整えて、勉強に集中するように期待している。しかし、このような環境の中で育った子供たちは、しばしばお金を稼ぐことの難しさや生活の大変さを分かっていない。小さなパーティーなどで300~500元費やし、洋服1枚に千元以上払うのだから、3千元の初任給でなければ1カ月の生活費は足りないと思うはずである。
(3)偽りの就職状況の宣伝。大学生の就職状況は現在のところ、けっして楽観視できない。一部の大学の学生募集の資料の中には、同校の就職率は95%と記載しているものもあるが、これは実際の数字と大きくかけ離れている。虚偽の高い就職率は、自由職業者や複数の企業と契約する人が増えて得られた数字である。しかしかなりの数の学生がこれらの数字に惑わされ、むやみに楽観視している。
大学生の就職に対する期待と現実の落差は、学生の長期の健全な発展を失わせてしまう。この問題を解決するには、学生が理性的に就職してからの計画や設計を行えるように導き、彼らの期待が高すぎ、高望みをしていると責めるのではなく、本当の情報を提供しなくてはならない。そうでなければ、教育がぶら下げた大きすぎる見返りによって、教育および教育を受けるものの健全な発展に影響が出てしまう。
「人民網日本語版」2007年1月25日