中国黒竜江省斉斉哈爾(チチハル)市の「8.4」事件―旧日本軍の遺棄化学兵器による毒ガス漏洩事故―の被害者は東京地方裁判所で25日、日本政府に対し被害者および犠牲者遺族への賠償を求める訴えを起こした。
同事件の被害者および犠牲者遺族48人の代表、馮佳縁さんと丁樹文さんは同日午後、日本の弁護団に伴われて、東京地方裁判所に訴状を提出した。訴状は、日本政府は人の生命と身体に危害をもたらす可能性があった旧日本軍遺棄化学兵器毒ガスを放置し、災害発生を防止する義務を怠ったとしている。原告は日本政府に対し、総額14億3440万円(1ドル=約121円として換算)の賠償をするよう要求している。内訳は、負傷者43人に対し一人3300万円、死亡者遺族5人に対し合計1540万円。
同事件被害者のために訴訟を行っている日本の弁護士は次のように述べる。
私たちは中国側の弁護士と協力し、事件現場や負傷者たちに対し多くの調査を行ってきた。また負傷者たちを3度日本に招いて交渉を重ね、負傷者に長期の生活保障と医療保障をするよう日本政府に要求してきたが、日本政府は今になっても誠意ある回答をしていない。このような状況のため、負傷者たちは裁判に訴えることを決意した。
「8.4」事件とは、2003年8月4日、中国黒竜江省斉斉哈爾市で発生した旧日本軍の遺棄化学兵器による毒ガス漏洩事故のことで、44人が負傷し、うち重傷の李貴珍さんが死亡した。
「人民網日本語版」2007年1月26日