先ごろ、中国科学院は「2007年度全世界の政治と安全報告」を発表した。報告の移民問題に言及している部分では、国際移民ブームの中で、中国の海外移民も拡大趨勢にあり、この趨勢は当面の国際政治状況に対する二重の作用が日増しに顕著になっており、「移民事務処理が国家関係の重要な側面となり、国際移民紛争が国家関係に影響する不確定要素に変化する可能性がある」と指摘している。
中国海外移民は世界最大の移民群
現在の中国人移民数はすでに3500万人に達し、世界最大の移民群と認められている。この移民群は世界151ヵ国に分布しているが、欧州、北米、オーストラリアが主要な集中地区である。20世紀最後の十年間だけで中国大陸から46万人の中国人がアメリカに移民し定住している。2000年~2005年の間、アメリカでは史上最大の移民ブームとなり、この5年間に35.5万人の中国人が平洋のかなたにある国に移住し、カナダ、オーストラリアでも同様の現象が起きている。
こうした移民は中国大陸の高度成長がもたらしたチャンスを生かし、中国製品の価格上の強みを利用して、卸業、小売業、スーパー・マーケット業、金融業、不動産業に進出している。ロシアの極東では、建築業、農業作付け業、林業伐採業などに多くの中国移民が雇用され、ロシア人が従事したがらない肉体重労働を引き受けている。
国際的移動の最大のマイナス要素は人材の流失
国際的移動の最大のマイナス要素は人材の流失で、中国は高い代償を払っている。改革開放以降に出国した移民構成は、留学生、知的人材が占める比率が圧倒的である。中国大陸から海外に出た専門人材の人数は30万人、北京大学の一部学科出身の学生はその76%がアメリカに移住している。これらの中国が巨額の教育コストをかけて育成した人材が、科学、教育、研究分野、特に高付加価値を創造する知的経済分野において移住先の国で働いていることは、高度成長のために多くの人材を必要としている中国にとって損失であることは疑うべくもない。
また、移民による紛争が国家関係に重大な影響を及ぼしており、特に非正規ルートによる移民が両国関係に厄介な問題を引き起こしている。ロシアの世論調査機関のデータによれば、移民規制を要求している人の比率が1996年の33%から2005年には59%に上昇し、46%の人が中国人移民の規制を主張している。大衆の中国人移民に対する疑惑と憂慮によって衝突が発生し、中ロ間の国家関係に亀裂をもたらしており、両国家間の政治、経済関係にもマイナスの影響を与えている。
「チャイナネット」2007/02/22