中国を侵略した旧日本軍の遺棄毒ガス兵器や砲弾で死傷した中国人被害者と遺族が、日本政府に損害賠償を求めていた訴訟の控訴審で、日本の東京高裁は18日、原告勝訴の一審判決を取り消し、原告の全ての請求を退けた。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
判決で小林克己裁判長は、中国侵略の旧日本軍が毒ガス兵器や砲弾を中国に遺棄した事実は認定したものの、日本政府が直ちに措置を講じれば事故を防止できたという必然性は成立しないとの理由で、日本政府に原告への賠償を命じた一審・東京地裁判決を取り消した。判決の言い渡しが終わるなり、中国人被害者の李臣さん(62)と孫文斗さん(45)は強い抗議の意を示した。
1996年12月、中国侵略の旧日本軍の遺棄毒ガス兵器・砲弾による中国人被害者とその遺族13人は、負傷者、および死亡者の遺族に1人当たり2千万円の損害賠償を支払うよう日本政府に求め、東京地裁に訴訟を起こした。
2003年9月、東京地裁は一審判決で、中国に遺棄した毒ガス兵器・砲弾の処理における日本政府の姿勢には怠りがあったと指摘し、日本政府に原告への総額1億9千万円の賠償の支払を命じた。日本政府はこれを不服とし、東京高裁に控訴した。
【本訴訟関連事件】
▽1974年10月20日、黒竜江省佳木斯(ジャムス)市の河で、毒ガス弾から漏れた液体により作業中の3人が負傷。1人は1991年7月に死亡し、残る2人も後遺症を負った。
▽1982年7月16日、黒竜江省牡丹江市の工事現場で、掘り出した毒ガス缶を開けて、イペリットガスにより4人が負傷、障害が残った。
▽1995年8月29日、黒竜江省双城市の道路工事現場で見つかった砲弾が爆発し、2人が死亡、1人に障害が残った。
「人民網日本語版」2007年7月19日