――四川大地震の被災地では現在、救助活動が緊張感と秩序をもって行われている。被災地で奮闘する救助隊員は死神との戦いを繰り広げている。以下の文章は、北京から現場に駆けつけた緊急医療チームの王聖林さんが被災地の様子や印象を記した救助活動の記録だ。
四川省の被災地に着いて2日がたった。初日、病棟に入る前まで、私はとても興奮しており、一刻も早く活動を始めたいと思っていた。昼間、装備品を降ろし、テントを張った後も、まだ体には力がみなぎっていた。
だが綿陽市の中心病院に到着し、病棟に入った時に見た光景は、忘れることのできない。戦争でもない限り、どこの病院でもこれだけ多くの患者があふれることはないだろう。ロビーや廊下にも患者が横たわり、呆然とした家族がそばに立っている。腕に赤い布を巻いたたくさんのボランティアが患者をかついで走り回っている。家族の消息のわからない人々が名前を呼びながら患者の間を探し回っている。働きづめの医師や看護士の声は枯れ、目は充血している。40時間以上一睡もしていない人も少なくないのだ。整形外科の主任も患者や重傷者の数を把握しきれていない。地震発生から14日朝までに中心医院の医師4人が行った壊死細胞切除や手足切断の手術は300回におよぶという。まだ状況をつかみ切れないまま、私たちが病室に入ると、すぐに新たな2~3人のけが人が運び込まれた。患者を運んできた人々は口々に患者の状況を訴えはじめた――。
振り返れば、北京を出発してから今まで、私たちはもう40時間以上も休んでいない。この間にたくさんの手術をした。やはり疲れている。
今日の午後に余震があったと聞いた。仕事に集中していたせいなのか、鈍いだけなのか、私は全く感じなかった。今、一番強く感じるのは、地震のない生活がどれほど幸福かということだ。
写真:ブン川県映秀鎮から救出された学生
「人民網日本語版」2008年5月16日