どうしてこれほどまでに国有企業の人気が高まっているのか? 大学生の就職問題を研究する専門家らは、経済情勢がその根本的理由であると認識している。今年に入り、中国経済全体が下降傾向であるほか、人民元の対ドルレートの上昇により、中国経済がさらに行き詰まり、マイナス要因が日増しに深刻化している。不透明な経済情勢は学生達の将来の収入に対する期待値を下げている。安定した仕事に就くことが学生達の一番の選択肢となっており、国有企業の安定性が必然的により受け入れられるようになった。
今回の調査結果の中で、卒業後の就職の目標に関する質問に対し、国有企業を選択する学生と外資系企業を選択する学生の間では、異なる回答が得られた。「生活と仕事のバランス」「幹部・管理職を目指す」というのはいずれの学生も希望している。だが外資系企業を選んだ学生らが、「グローバルなキャリア獲得」を主な就業目標としている一方、国有企業を選んだ学生らは、「安心感・安定性」をより重視している。安定性が、国有企業に対する人気が高まっている主な理由だ。
過去数年間、外資系企業はその好待遇・人材育成計画・明確な業績重視システム・ビジネスライクな人間関係により、多くの大学生の人気を集めてきた。しかし現在、外資系企業と中国の大学生の「蜜月時代」は既に終焉しているようだ。外資系企業が着々とその数を伸ばし、多くの外資系企業が本土化しているのと同時に、待遇もまた国内水準に近づいている。さらに、人材育成計画の虚構・昇進システムからの疎外・残業問題など、外資系企業にまつわるマイナス要因が日増しに顕在化するにつれ、中国の大学生らの外資系企業に対する認識も次第に具体化し、大学生らは就職先選択に際しより慎重になっている。ベルテルスマンが会員を残して中国市場から撤退した事件も、「外資はいざというときには頼れない」という人々の意識を高めた。
一方の国有企業は長年の経験から、管理水準が不断に向上し、現代的な人的資源体系を徐々に構築しつつあり、学生からの人気が回復する傾向にある。ある求人サイトが今年8月に発表した調査結果によると、中国の給与額は今年、平均13.8%上昇した。そのうち国有企業の上昇率は14.5%とトップを占め、一方の外資系企業はわずか11.7%にとどまっている。
「人民網日本語版」 2008年09月12日 |