▽人に左右されない
「わたしたちは太っていることに自信を持ち、強くなろう」。会員の肥満女性たちはみんな、ジョークを言えるようにならなければならない。冗談には、楽しい雰囲気を作る以外に、周りの人を明るくし、自信をつけさせる効果がある。
体重68キログラム、身長158センチの胡敏さんは、小さい頃から太っているという理由で、周りから笑われ、いじめられてきた。
昨年の夏、友だち同士の集まりで、性格が明るい3歳年上の林偉(仮名)君と知り合い、一目ぼれをした彼女は、毎日のように手作りのスープを彼に届け、マフラーを編んでプレゼントもした。彼女の一途さに感動した林君は、彼女と正式に交際する事に同意したが、一つだけ条件があった。それは、2人が付き合っていることを、他の誰にも知らせてはいけない、というものだった。
それまで恋愛経験のなかった胡敏さんは、始めの頃、突然やって来た幸せにひたっていた。だが、しばらくすると、林君が他の友人との約束には決して彼女を連れて行かないこと、街に出たときも、2人の間の距離を保っていることが分かるようになってきた。ある日、2人が街を歩いていると、林君の友人にばったりと出会った。その友人は笑って「このオデブちゃんが、お前の彼女かよ?」と聞くと、林君は「まさか!ただの従姉妹だよ」と答えた。彼のこの言葉に、胡敏さんは遣り切れない気持ちが抑えられなかった。ある日、胡敏さんはひとしきり泣いた後、もう2度とこんな卑屈な気持ちになりたくない、林君との仲を公表したい、と思うようになった。しかし林君は、「50キロに痩せたら、また付き合おうよ」という言葉を残し、彼女から去っていった。
それから、胡敏さんはダイエットに励んだ。1日3食の食事をリンゴ1個だけで通し、お腹がすけば水を飲み誤魔化した。半月後のある日、胡敏さんは路上で倒れ、運び込まれた病院の医師から「重度の貧血」との診断を受けた。父母を心配させるに忍びなく、胡敏さんは今後ダイエットをしないと約束した。しかし失恋の痛みは、癒されることはなかった。
昨年の冬、友人の紹介で、胡敏さんは唐雪妍さんの店で服を買うようになった。胡敏さんは「あの時、白い目でまた見られるんじゃないか、ってとても不安でした」と話す。唐雪妍さんは、胡敏さんにお茶を入れながら、「気に入った服があれば何でも試着して見なさいよ。何も不安がることないわ」と胡敏さんを勇気付けた。「またいつでもいらっしゃい。太ったお客はみんな大好きよ」と。常連客の何人かも積極的に話し掛けてくれ、胡敏さんは彼女らの活動によく参加するようになり、失恋の痛手もだんだん薄れてきた。
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