中国の西北部、特に広い新疆や内蒙古(モンゴル)では、いたるところにスナネズミ(砂鼠)の穴がみられる。たいてい1カ所に少なくとも数十個、多ければ300個以上の穴が集まっている。スナネズミは穴の中に干し草を貯め、植物の茎や葉、根っこまでかじるため、弱体化した砂漠での植物の生存をさらに危うくしている。
毎年5月にスナネズミは繁殖期を迎える。新疆・昌吉市北部にある砂漠管理ステーションの職員は昨年5月からスナネズミへの避妊薬投与を試み始めた。
魚のエサに似た外見の黄色い顆粒状の不妊薬の毒性は弱く、フクロウや鷹などスナネズミの天敵にも影響はないとされ、スナネズミの出生率を低下するだけでなく、植物とスナネズミ、ネズミをエサにする動物の生物連鎖を崩すこともない。
昌吉市林業局は昨年、ネズミ用の避妊薬を200キロ購入し、投与。この避妊薬はネズミ向けの新製品で、試験段階にあるため、大規模には使用されていない。この方法を虫やネズミの害に悩む中国西北部のその他の地域にも広めたいと考えている。
昌吉市が管轄する、総面積は21万ヘクタール以上の古爾班通古特(グルバンテュンギュト)砂漠南部には、梭梭やギョリュウなどが生育し、砂漠の侵食を防ぐ天然の障壁となっている。北部砂漠生態保護管理ステーションの孟吉金所長によると、避妊薬の投与が始まって以来、明らかにスナネズミの穴は減り、植物が大規模に枯れてしまう現象がコントロールされているという。
「人民網日本語版」2009年3月27日 |