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衛生部、食塩のヨード添加量を引き下げへ
発信時間: 2009-08-13 | チャイナネット

一部のメディアは最近、「国民のヨード添加塩摂取」奨励に疑問の声を上げ始めている。報道によると、一部地域では、「ヨードの過剰摂取」によって、甲状腺癌などの甲状腺異常の増加が起こっている。衛生部疾病予防コントロール局担当者と中国疾病予防コントロールセンター国家ヨード欠乏症(IDD)研究室の李素梅・主任はこれについて次のように説明した。

中国国民のヨード栄養レベルについては、全体的に問題はない。だが、一部の地区では、程度の差こそあれ、ヨード過剰摂取の問題が起こっている。衛生部は2007年以降、数度にわたり関連専門家による論証を実施し、現行の塩のヨード添加量を改定するとの意見で大筋一致した。同意見は2008年、風土病標準専門委員会で審議通過された。定められた手順に基づき、現在は食品添加剤標準専門委員会による審査が進められており、その後中国国家標準化委員会に認可申請が提出される。関連改定方案は、2010年上半期に発表される見通し。

今回の主な改定点は、▽現行のヨード添加量を適宜引き下げ、正確性および濃度の適性を一層高める▽ヨード添加量が一部省(区、市)の実情に合わない場合は、省級衛生行政部門が実情に合わせて適宜調整し、国家衛生行政部門に調整を申告した後、執行する??など。

「一部地区での甲状腺癌増加は、ヨードの過剰摂取と関係がある」という意見について、甲状腺癌など多くの腫瘍はここ数年、世界的に増加傾向にあるが、甲状腺癌の発病システムはまだ明らかにされていない。この事実から、甲状腺癌発病とヨード添加塩摂取との間に関係性が認められるという推論には、確固たる理論的な裏付けがない。一方、ヨードの補給は、甲状腺癌の悪性度を鈍らせることは、周知の事実となっている。

▽ニュースの背景

中国はかつて、ヨード不足が世界で最も深刻な国のひとつだった。約7億の中国国民がヨード不足に陥り、世界でヨード不足から病気になった人の40%を占めていた。中央政府は1994年、「国民のヨード添加塩摂取」政策を強制的に推し進めた。政府は同年、「ヨード添加塩によるヨード不足解消管理条例」を公布した。当時ヨード摂取量が高く、同条例を施行する必要がなかった北京、河北、山西、江蘇、安徽、福建、山東、河南8省市を除く全国の省市で、ヨード添加塩の強制摂取が推進された。しかし、利潤追求に目がくらんだ一部の地方製塩メーカーが、ヨード摂取量が高い地域でもヨード添加塩を販売したのが実情だった。

2009年5月、「沿海地区住民のヨード栄養状況」調査が衛生部の主導で、浙江、遼寧、福建、上海の4省市で実施された。地方性甲状腺腫の予防が本来の目的だったヨード添加塩の摂取が、反対に市民のヨード摂取過多を引き起こし、健康上の大きなリスクを生み出していることが明るみに出た。南方地域、特に沿海都市では近頃、「国民のヨード添加塩摂取」政策に対する見直しが始まり、「ヨード添付塩が病気の引き金に」といったショッキングな説を主張するメディアも登場した。

「人民網日本語版」2009年8月13日

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