中国政府はこのほど、「農村医師診療管理条例」を公布した。専門家は「これにより農村医師の診療についての管理が規範化され、広範な農村住民の健康を保障することにとって重要な意義がある」と指摘している。

　農村医師は中国の特有の医療衛生従事者であり、1950年代に誕生し、村レベルの医療従事者から構成されている。2000年の末まで、中国農村部の医師が100万人に達し、1つの村毎に農村医師は2人ぐらいという状況だった。経済発展が立ち遅れている農村地区では、農村医師は農民の普通の病気の診療や基本的な病気の予防保健衛生問題を効果的に解決し、8億人の農村の人々の健康を保障するために大きく寄与していた。

　中国農村部の医師の診療レベルは様々で、その内、3分の1は中等医療専門学校を卒業しているが、その他は中等学校と高等学校を卒業し、短期訓練を受けただけで診療活動を行っていることから、規範性のない医療行為や医療事故が場合によっては発生することがあった。

　こうした状況において、中国政府は「農村医師診療管理条例」を公布した。中国衛生経済研究所の王禄専門家は「農村医師診療管理条約」は農村医師の診療資格やその管理それに医薬品使用範囲などを規定し、わが国の農村医師の一部の問題を解決し、農村保険事業の発展ことにとって重要な意義がある」と述べている。

　公布されたばかりの「農村医師診療管理条例」の規定に基づき、今、農村医師の中で次の条件の一つを満たす人は農村医師としての診療活動の登録を申請することができる。その条件とは中等医学専門学校卒業以上の学歴を有していること、或いは農村医療保健機構で20年以上連続して従事していること、或いは、専門的な訓練を受け、合格証を有していることである。以上の条件を満たしていない人は関連部門が実施する専門的な訓練を受け合格して初めて農村医師としての診療活動の登録を申請することができる。

　農村医者の診療レベルを保障するために、この「条例」に基づき、今後全国の省、自治区、市は定期的な訓練計画を制定しなければならない。また農村医師が2年ごとに少なくとも1回は訓練と審査を受けることを保証し、審査する時に地元住民の意見を十分聴取しなければならない。審査に合格すれば、診療を続けられるが、そうでなけれれば診療資格が取り消されることになる。

　今年上半期、SARS感染が中国で大きく広がったことにより伝染病の予防と治療に対し社会からの厳しい監視の目を注がれるようになった。伝染病の農村部での拡大を予防するために、「農村医師診療管理条例」では農村医師が伝染病を発見した場合、規定に基づき、感染状況を直ちに報告しなかればならないと定められている。中国保健経済研究所の専門家・王禄さんは「様々な伝染病はまず最初に民間から流行するものである。この条例の公布は農村医師に伝染病は直ちに報告すると言うことを義務づけた。これは伝染病予防・治療体制の建設に重要な意義がある」と述べている。

尚、この「農村医師診療管理条例」は来年1月1日から実施されることになる。

CRIより2003年8月25日