北京五輪の男子100m決勝に出場した8人のうち、ジャマイカ人はウサイン・ボルト、アサファ・パウエル、マイケル・フレイターの3人にのぼった。さらに女子100m決勝では3位までをジャマイカ人が独占。さらにマリーン・オッティやキャンベル・ブラウンなどの名選手もいる。ジャマイカは多くの短距離選手を輩出してきた。
北京大会前までに、ジャマイカは44枚のメダルを獲得している。そのほとんどは短距離とリレーで得られたもの。2004年アテネ大会では、キャンベル・ブラウンが出場した200mと400mリレーの2種目で金メダルが獲得され、金メダル数で1984年ロサンゼルス大会の記録に並んだ。ジャマイカは北京大会に51人の陸上選手を派遣しているが、そのうち39人が短距離選手だ。カリブ海にある人口280万のこの小国がこんなにも多くの短距離選手を輩出するのはなぜか。英国のグラスゴー大学と西インド諸島大学が200人のジャマイカ選手を対象に行った研究によると、これらの選手のうち70%で体内に「Actinen」という物質が見つかった。この物質は、瞬発能力と関係する筋肉繊維を作り出す作用を持ち、選手をより早く走れるようにする効果がある。オーストラリアの陸上選手でこの物質が見つかったのは30%にすぎない。「ジャマイカ選手の短距離種目での活躍は偶然ではない。ジャマイカ人の中にはもっと多くのパウエルやシンプソンが潜在している。これは遺伝子によって決定されたことだ」と研究員のモリソン氏は語る。
短距離走がジャマイカ人の好きなスポーツであることもジャマイカ選手の好成績に関係がありそうだ。ボルトの父は試合後、「息子のウサインの試合時には、近所の人たちが私の家に集まって試合を観戦した。家の中と庭には人があふれ、100人以上が集まった。みんなが旗を振り、太鼓をたたいて、ウサインを応援した。100mの決勝が行われたのは午前中だったが、ジャマイカ中がその日のあいだ喜びでわきかえった」と語った。ジャマイカ人の短距離に対する熱狂振りがよくわかる。
ジャマイカは短距離選手を輩出することで有名だが、そのトレーニングの環境は欧米諸国とは比べようもない。パウエルやシンプソンらが練習を行うジャマイカの科学技術大学の陸上専用クラブは北京大会に10人の選手を輩出した。「ジャマイカで最先端の設備を持つ」というこのクラブだが、練習場にはコース分けされた楕円形のトラックがあるにすぎない。
「人民網日本語版」2008年8月18日 |