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japanese.china.org.cn |23. 06. 2022

国潮がブームに、京劇の歌声が世界に響き渡る

タグ: 京劇 中華文化 カルチャー グローバル化
中国網日本語版  |  2022-06-23

 彼は京劇名作『鐘馗嫁妹』の鐘馗、実験京劇『ファウスト』のファウストを演じた国家京劇院の花臉(京劇の役柄の一つ、性格の荒々しい人物を演じる役で顔にくまどりをする<多くは敵役>)俳優・劉大可さんである。この約10年で、中国の伝統芸術の舞台はより開放的かつ多様になり、中国ブランドカルチャーが流行している。劉大可さんは、「2本足で歩き」、伝承しながら革新することは京劇人の使命だと考える。


 国潮の回帰で自信を深める芸術家


 劉大可さんは劇壇出身で、父は胡弓奏者、母は京劇俳優だ。両親は1989年に吉林市小雪花少児京劇団を創設した。当時8歳だった劉さんは第1期の劇団員だ。劉さんは、「当時の私は小学2年生で、放課後に行く場所がなく劇団に遊びに行った。運動代わりに足腰を鍛えた」と語る。劉さんが京劇の良き後継者であることは、事実によって証明された。


 芸歴30年以上のベテラン俳優である劉大可さんは、国が伝統文化を重視していると深く感じている。特にこの10年、国は文化の自信を強調し、これまでにないほど「中華文化のグローバル化」に取り組んでいる。「私たちは中国ブランドカルチャーの回帰を享受し、演劇を専門に行う私たち芸能関係者は自信を高めることができた」と話す劉大可さんは近年、デンマーク、オランダ、ドイツ、フランス、スペイン、米国、シンガポール、香港地区、台湾地区などの国と地域で公演や交流を行い、中国内外の文明相互学習の使者となっている。


 京劇で中国のエピソードを語る


 梅蘭芳が1919年に日本公演を行ってから現在まで、中国の京劇は海外で百年以上に渡り広まっている。劉さんは、文化を象徴する梅蘭芳は、京劇の海外での一大現象とも呼べるほどの普及を促した第一人者だと考えている。梅蘭芳個人の魅力のほか、当時の海外の観客が最も好んだのは、京劇の豊富な舞台表現形式だ。例えば彩り豊かな隈取りや衣装、優れた立ち回りなどがそうで、そのため「大閙天宮」などの戦いが中心の演目が好まれる。


 中国の国力の持続的な増強と国際的な地位の向上により、海外の観客の京劇への認識にも変化が生じた。劉さんは、「彼らの京劇への注目は形式から内容へ、武劇(立ち回り中心)から文劇(歌と台詞中心)へと変化している。そのため彼らは中国の人文精神への理解を深めようとしている。『白蛇伝』『鎖麟囊』『楊門女将』などの美しい歌が長い文劇が徐々に西側の観客から認められるようになってきた」と語る。


 海外でより良く京劇ファンを獲得するため、国家京劇院は京劇により中国のエピソードを語る新たな道を絶えず模索している。俳優たちは1980年代に言葉の壁を打破するため、英語やその他の言語による上演を試みたが、変わった印象を与えた。「外国の映画を観賞するように、声が外国語であっても字幕を見れば内容を理解できる。しかし中国語吹き替えであれば奇妙な印象を受ける。そのため私たちは現在、そのままの京劇の節回しで中国のエピソードを語っている。東洋の独特な人文精神のほうが、実際には西側の観客の胸を打ちやすい」


 中国語で世界のエピソードを語る


 劉さんは、過去10年間で中国の伝統芸術の舞台がより開放的かつ多元的になり、国潮(中国伝統文化の要素と現代のトレンドを融合したスタイル)がますますブームになっており、俳優はより大胆に創作できるようになったと見ている。京劇で西側の題材を取り扱うことが一種の新たな可能性になり、劉さんもこの革新の実践者になった。劉さんはこの10年で、「ファウスト」「トゥーランドット」「ニーベルングの指環」など国内外合作の実験京劇の創作に参加し、社会から大反響を得た。ある古い京劇ファンからは、「遊びでやっているのではなく、新たな考え方で創作している」という評価をもらった。


 「ファウスト」に話が及ぶと、劉さんは口火を切って話し出した。国家京劇院の一座、ドイツ人監督、イタリア人作曲家が共に創作したこの業界を跨ぐ京劇で、劉さんはファウストを演じた。この3カ国のチームは3カ月で脚本を28回修正した。中国と西洋の文化の差により、チームのメンバーは激しい議論を展開した。「辛かったが楽しかった」と、劉さんは笑って話す。しかし劉さんは、この前衛的な京劇が清華大学などの中国の各大学に進出し、ドイツやイタリアでも4回巡業できたことを喜んでいる。「毎回上演が終了すると、外国の観客が楽屋で私たちを待っていた」さらに習近平国家主席が2017年に、中国を訪問中のドイツのガウク大統領を招待し、人民大会堂で共にこの演目を観賞したことで、劉さんはいっそう励まされた。「この俳優がわずか4人の小さな演目が人民大会堂の舞台に上がり、わが国の外交の名刺になるとは思いもしなかった」


 感染症の影響を受け、劉さんは最近海外での公演の予定がないが、決して落ち込んでいない。「感染症は困難だが、考える時期でもある。京劇は深い厚みを持つ芸術形式だ。私たちは今後どのように道を歩むかを、落ち着いてしっかり考えることができる」劉さんは現在、日本の神話を改編した実験京劇「無量・度」を創作中だ。劉さんは、「内容のほか、私たちは時間の処理を工夫し、伝統的な観賞モデルを打破しようと試みている」と語る。情報によると、「芸術+テクノロジー」は京劇の国内外普及の新しい手段になっている。国家京劇院は2021年と21年の春節中、「オンライン演劇で年越し」をテーマとし、5G+VR+4K技術を利用し、2年連続で京劇「龍鳳呈祥」をオンライン上演した。劉さんは、「コロナ後、私たちは芸術がほとばしる新たな段階を迎えるだろう」と力強く語る。


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