中国のメディアも当然、積極的な面を報道すべきだ。とくに日本の民間は、中国に対し好感を抱く人は少なくなっているとはいえ、まだ多くの人は中国に対し友好的だ。
中国の新聞はこの数年、いくらか進歩した。例えば、中国で炭鉱事故がどうしてこんなに多いのか。それが起こるたびに報道している。以前は、インターネットがなかったので、炭鉱事故が起こっても、記者たちは知らなかったので報道できなかった。現在は、炭鉱事故が起こると、炭鉱を経営する企業主が報道してほしくなくとも、それを報道しなければならないと中央政府が規定を定めている。これは進歩ではないか。
古い観念を変えよう
中日両国の人民は、全面的にお互いを理解する必要がある。古い固定観念は間違っている。例えば、中国人は日本人の男尊女卑がひどいと思っているが、私の知るかぎり、そんなことはない。日本人の一部には、中国人が不衛生だと思っているが、これも完全に変わった。以前、中国の住宅は本当にみすぼらしかったが、今は、北京や上海で、風呂に入らないという人はいるだろうか。
中国人がみな「反日的」だと言うのも間違っている。中国人が日本は良くないというのは、靖国神社などの歴史問題に関することだけだ。もしこれがなければ、中国人は日本人を依然、尊敬している。歴史は忘れることはできないが、恨みは次の世代に遺伝させてはならない。
中国人がもっとも嫌うのは、靖国神社に参拝することと歴史的に中国で起こった戦争の責任を認めないことだ。ほかの問題はみなうまく処理できるが、この問題は避けて通ることはできない。 新たな分野での協力を 中日の経済関係は、単純な投資や合弁の段階は次第に終わり、さらに広い分野で協力する、新たな創造や発展が求められている。例えば、エネルギー問題での協力には、ハイブリッドカーの研究やソーラーエネルギー、風力の利用、二酸化炭素の削減などがあり、どれも共同で研究すべきだ。
だが共同研究では、中国側は知的財産権の保護に注意しなければならない。この問題は比較的大きい。しかし、技術面や工業面では、知的財産権の保護はうまくできると思う。
上海で2010年に開かれる万博に関しては、日本は経験豊富なので、もっと協力を深められないだろうか。(全国政治協商会議外事委員会副主任 趙啓正。上海市副市長や国務院新聞弁公室主任をつとめ、中日関係やメディアのあり方について発言を続けてきた)
「人民中国」より2007年9月24日