「両大会」(全国人民代表大会、全国政治協商会議)の開催を目前に控え、経済学者が今後の経済をめぐり期待や展望を語った。
▽経済の過熱対策には改革の全面的推進を―呉敬璉氏
現在の中国の経済改革が直面する状況について、国務院発展研究センター学術委員会の呉敬璉副主任は「世界経済は下降局面に転じ、長期的には景気は上向かない。欠陥を少なからず内包する中国経済システムに強さが備わらなければ、外界の小さな変動でさえ受け止めることはできないと懸念する」と話す。
2003年末以来、呉氏を含む経済学者らは、投資が牽引する成長モデルが採用されたことにより、中国経済には政府主導の投資の過熱という現象が現れると予測した。不幸にして予測は的中し、呉氏は今再び、中国経済の過熱を抑制する根本的な道筋は改革の全面的な推進、特に行政スタイルの改革と政府機能の転換にあると強調する。
政府が最近行った一連の商品価格に対するコントロール措置について、呉氏は次のように述べる。物価水準上昇の原因は、通貨の発行量が多すぎることにある。政府が物価水準の安定を保障しようとするなら、通貨の発行量を抑制するしか方法はない。物価は制限したからといって制限しきれるものではない。価格を完全にコントロールしてしまったら、市場は役割を発揮できず、経済構造は改善されず、中国が現時点で抱える多くの経済問題が根本的に解決されなくなる。
▽内需拡大が改革のカギ―魏傑氏
清華大学中国経済研究センターの魏傑主任は当今の経済発展の焦点をめぐり、「中国は後退できない。いかにして継続的に進んでいくかという問題を検討しなければならない」と述べた。
魏氏は、両会で昨年秋に行われた中国共産党第17回全国代表大会(十七大)の報告をどのように理解し、どのように実践していくかに最も注目するという。
魏氏の分析によると、十七大報告では、今後の中国経済には2つのバランスが必要だとの見方が示された。一つは国内経済のバランス、もう一つは国際収支のバランスだ。2つのバランス実現のカギは、経済成長を牽引する輸出・投資・消費の3要素の順番を、消費・投資・輸出に並べかえることができるかどうかにある。これは重大な戦略調整であり根本的な転換でもあり、調整が成功すれば、現在の資金の過剰な流動性、インフレ、資産価格といった問題はすべて流れるように解決するという。
だがこれには少なくとも5年の時間が必要だ。今後5年に、多くの中国企業が安価な製品の輸出から国内市場の開拓へとシフトチェンジしなければならなくなる。輸出企業の転換は内需拡大に向けた戦略的調整に並行して行われるものだ。輸出・投資・消費から消費・投資・輸出への並べ替えは一見簡単なことのようだが、今後の政府の経済改革の中心であり課題でもある。内需拡大が改革のカギだ。