第11期全国人民代表大会の開幕により、第10期全人代は正式に5年間の活動を終了する。立法公聴会の初開催、物権法草案の8回にわたる審議、全人代と常務委員会の開放度と透明度の引き上げ、法律制定にあたっての草案公開による意見募集――第10期全人代は、さまざまな措置を取ることで、中国の政治制度の根幹である全人代制度の改善に尽力してきた。
▽常務委員の若返り
03年3月15日に開催された第10期全人代第1回会議第5回全体会議では、第10期全人代常務委員に159人が選出された。新委員の平均年齢は第9期より3.4歳低下。50歳以下の委員は24人となり、常務委員会は大幅な若返りを果たした。
若返りの一因となったのが、19人の「特別委員」の選出。法律・科学技術・金融・社会保障などの分野の専門知識を持ち、仕事の前線にいる比較的若い人材から選ばれた特別委員たちは、常務委員会に新鮮な風を吹き込んだ。そのうち10人は03年8月、7つの専門委員会の主任委員補佐役に任命され、元の職を辞して全人代機関に移り、全人代の活動に専念する専任の委員となった。
▽憲法に人権を明記
第10期全国人民代表大会第2回会議閉幕大会は04年3月14日午後4時54分、中華人民共和国憲法の修正案を圧倒的多数で可決した。1982年に公布された現行の憲法の4回目の改正となった。
改正憲法には、▽国家政治と社会生活に対する「3つの代表」思想の指導的立場の確立▽物質文明・政治文明・精神文明の調和の取れた発展の促進▽土地収用制度の改善――などの内容が盛り込まれ、「国家は人権を尊重し保障する」ことや「公民の合法的な私有財産は侵害を受けない」ことなどが明記された。