嫦娥5号は中国が初めて無人月面サンプル採取・帰還を実施するための宇宙船であり、今回の任務では中国宇宙事業の歴史における5つの「初」を実現する見通しだ。
・初の月面自動サンプル採取。今回の任務の重要内容の一つである、月面自動サンプル採取・密封は、嫦娥5号任務の最も注目されている部分だ。デザイナーは嫦娥5号に向け、掘削採取及び地表採取という2種類の方法を丁寧に設計した。
・初の月面離陸・上昇。月面環境は複雑で、着陸モジュールも安定した状態とは限らず、坂や凸凹した場所に着陸する可能性が高い。月面離陸時には宇宙船の「自力更生」により、離陸時に自主的に測位し、姿勢を整えなければならない。
・初の月周回軌道におけるランデブー・ドッキング。嫦娥5号は月周回軌道に移り、帰還モジュールとランデブー・ドッキングし、採取した月の土壌を帰還モジュールに移さなければならない。長年の実践と模索により、中国は有人宇宙事業で近地球軌道ランデブー・ドッキング技術に熟練し、これを把握している。しかし38万キロ離れた月周回軌道で無人ランデブー・ドッキングを実施するのは中国初・人類初だ。
・初の月の土壌を運びながらの高速再突入。嫦娥5号着陸モジュールの飛行速度は秒速11キロの第二宇宙速度に近い。速度が上がりすぎると、帰還モジュールは地球に正面衝突し大惨事になる。そのため帰還モジュールの飛行速度を落とす必要がある。デザイナーらは画期的な「半弾道ジャンプ型再突入・帰還技術プラン」を掲げた。これは宇宙で水切りをするようなもので、帰還モジュールはまず高速で大気圏に突入し、さらに大気圏の浮力を利用し大気圏から離れ、それから第一宇宙速度で大気圏に突入し地上に帰還する。
・初の月のサンプルの保存・分析・研究。嫦娥5号探査機はさまざまな「神器」を運ぶ。約2000グラムの月の土壌を採取・密封し、かつ安全に地球に送り届ける。科学研究者は初めて中国が自ら採取した月のサンプルの保存・分析・研究を行う。