習近平国家主席は30日、北京からビデオ形式で第16回20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席し、演説を行いました。
習主席は、「現在、新型コロナウイルス感染症の拡大が繰り返されている。世界経済の回復は脆弱で、気候変動の課題が厳しく、地域問題が頻発している。世界は百年未曾有の変化と感染症に対峙している。G 20は国際経済協力の主要なフォーラムとして、あるべき責任を担い、人類の未来と人民の福祉のため、開放と包摂性、協力ウィンウィンを堅持し、真の多国間主義を実行に移して、人類運命共同体構築を促進する必要がある」と指摘しました。
習主席は演説の中で、以下の5つの意見を打ち出しました。
一つ目は「団結と協力を行い、手を携えて感染症と闘うこと」です。国際社会は力を合わせ、科学的な態度で新型コロナウイルス感染症と戦うべきとしています。予防・抑制と治療方法改善の協力を強め、突発的な公衆衛生事件に対応する能力を高めていき、G20は共通認識の結集、資源の調達、協力の促進においてリーダシップの役割を果たすべきと示しました。
習主席はグローバルなワクチン協力について、「1.ワクチンの科学研究と協力を強化し、ワクチン生産企業が発展途上国との共同研究開発・生産をサポートする」「2.公平と公正を堅持し、発展途上国にワクチン提供の度合いを強め、世界保健機関(WHO)が提出した2022年までの摂取目標を実施させる」「3.世界貿易機関(WTO)がワクチンの知的財産権の保護を解除するため、いち早く決定することを支持する」「4.クロスボーダー貿易の協力を強め、ワクチンと原材料の貿易と流通を確保する」「5.各種のワクチンを公平に取り扱い、WHOの緊急使用リストに基づき、ワクチンの相互承認を促進する」「6.グローバルなワクチン協力、特に発展途上国のワクチン取得に金融面から支援する」という6点を提案しました。
現在、中国は100あまりの国と国際組織に16億回以上のワクチンを提供しました。今年、海外に提供するワクチンは20億回分を超える見込みです。中国は16の国とともにワクチンの共同生産を行い、30の国とともに「一帯一路」ワクチン協力パートナー関係を提案しています。中国は各国とともにワクチンが発展途上国で利用可能、負担可能となることを実現させ、グローバルなワクチンの予防ラインの構築に力を入れていくことを望んでいます。
二つ目は「協調を強め、回復を促進すること」です。マクロ経済政策の協調を強め、政策の連続性、安定性、持続可能性を保っていくとしています。主要経済体は責任あるマクロ経済政策を講じる上で、発展途上国に対するマイナス影響を避け、国際経済と金融システムの穏健な運営を保持していくことを示しました。
同時に長い目で見て、グローバル経済ガバナンス体系のルールを改善し、国際経済局面の変化を映し、発展途上国の影響力を向上させていきます。中国は国際通貨基金(IMF)による特別引出権の増発を通じて、感染症の影響を受けた低所得国家に転借することを歓迎しています。
WTOを中心とする多国間貿易体制を守り、開放型世界経済を構築し、発展途上国の権益と発展の可能性を確保していくことが必要です。また、紛争の解決メカニズムの正常な運営をいち早く回復させ、産業チェーンの安全と安定を保ちます。中国は産業チェーン・供給チェーンの強靭性と安定に関する国際フォーラムの開催を提案するとともに、G20と国際組織の積極的な参加を歓迎しています。中国は各国とともに、高品質の「一帯一路」共同建設を促進し、より多くの成果を遂げることを望んでいます。
第三は「普遍的特恵と包摂性、共同発展していくこと」です。人民を中心に据えて、グローバル発展の公平性・有効性・包摂性を高め、いかなる国も遅れることを防いでいくとしています。G20は発展をマクロ政策の協調の重要な立場におくべきで、アフリカと後発開発途上国の工業化実現のイニシアティブを実施していきます。先進経済体は発展支援の約束を履行し、発展途上国により多くの資源をもたらします。国連に提案したグローバルな発展提案とG20によるグローバル発展促進の主旨の重点方向と合致させ、各国の参与を歓迎します。
第四は「イノベーションに牽引される発展を実現させ、原動力を掘り出すこと」です。G20は力を合わせ、成長の潜在力を掘り出すべきとしています。十分に参与し、共通認識を達成する上でルールを制定し、イノベーションに牽引される発展の実現に良好な環境を作り出します。狭い範囲のグループ、ないしイデオロギーで分けることは障壁しか作らず、科学技術のイノベーションに何の役にも立ちません。