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japanese.china.org.cn |07. 03. 2023

渾身の力をこめて新たな征途へ

タグ: 征途
人民中国  |  2023-03-07

文=元NHKアナウンサー、ジャーナリスト・木村知義 

 これほどの苦衷に満ちた「政府活動報告」(以下「報告」)を目にしたことがあっただろうか。今回の「報告」を読んでの感慨である。 

 冒頭「2022年は党と国家の歴史においてきわめて重要な1年であった」と語り始め、さらに「この5年は、きわめて特殊で、きわめて特異なものであった」と語る言葉にすべてが凝縮されている。とりわけ米国による「対決」を深める動きが深刻さを増した1年、パンデミックと対峙した3年、さらには前の19回党大会以来の5年にわたる内外の諸問題、こうした難題、苦難をどう乗り越えてきたのか「報告」の大半を割いて、率直かつ緻密に語り、まさに挌闘のなかで勝ち取った成果をまず明確にしている。そのうえで、立ち向かうべき課題をつまびらかにして、中国のすべての人々に自信をもって果断に立ち向かうことを呼びかける「報告」となっている。また、李克強総理にとっては任期最後の政府活動報告に渾身の力を込めたことが「報告」全体の行間から伝わってくる。 

 新中国の歴史に新たな画期をなす昨年秋の中国共産党第20回大会、そして3年に及ぶコロナパンデミックをこえて、いま、まさに満を持して新たな飛躍、新たな征途に踏み出す時を迎えていることを告げ知らせる「報告」だと言える。 

 そして、「経済・社会の発展に近道はなく、地道な努力が肝要である。この5年、終始一貫して習近平『新時代の中国の特色ある社会主義』思想を導きとし、党の基本理論、基本路線、基本方針を全面的に貫徹した」とするとともに「人民の要望を施政の方向とし、終始人民を第一に考え、すべてにおいて人民の利益を重んじ、大衆の声に真剣に耳を傾け、大衆の日々の暮らしをしっかりと把握し、人民大衆の悩みや希望に努めて応えた」と、中国の最も基本とする立脚点をあらためて世界に明示している。 

 これから取り組む重点政策を8項目に集約して簡潔かつ密度濃く示し、具体数値を挙げて目標を明確にすることで、パンデミックによって足踏みを余儀なくされた経済に全力を注ぎ、中国の持つ活力を蘇らせようという決意が伝わってくる。とりわけ、世界の経済成長、発展に対する貢献という意味でも重要な中国の経済成長の目標設定を5%としたことは、現在の世界の厳しい経済状況の中では注目すべき数値目標となる。まさに中国の潜在力の力強さに期待が高まる。 

 また、「国有資本・国有企業改革を深化させ、国有企業のコアコンピタンスを強化する」とする一方「民間経済と民間企業の成長を奨励・サポートし、中小・零細企業と自営業者の発展を後押しし、親身で清廉な政財関係を構築し、各種所有制企業に公正かつ自由に競争できる環境を整え、実のある方策で市場の期待と自信を向上させる」としていることは、「公有経済」と「私「人民中国インターネット版」2023年3月5日有経済」をどう有機的に機能させるのか、「中国の特色ある社会主義」の建設を展望するうえで注目していくべき提示だと言えるだろう。 

 台湾について、「一つの中国の原則と『92 コンセンサス』を堅持、『独立』反対・祖国統一促進を貫き、両岸関係の平和的発展と祖国の平和的統一への道を歩む」と重ねて原則を鮮明にしていることも忘れてはならない。 

 昨年の20回党大会における習近平総書記による「政治報告」と今回の全人代の「政府活動報告」が対となって、中国の現在(いま)と未来について考える際に欠かせない知見と多くの示唆を受け取ることになるという思いも強くしたことを記しておきたい。 

 「人民中国インターネット版」2023年3月7日