政治・安全>
japanese.china.org.cn |18. 10. 2023

対中半導体封鎖、米国が調整する可能性は?

タグ: 半導体 EU ハイテク 
中国網日本語版  |  2023-10-18

 報道によると、米国は存在しうる「抜け穴」を埋めるため、対中半導体規制の強化を検討している。中国のユーザーによるリモートでのアクセス、もしくは「不正ルート」の利用による高級半導体の獲得を防ぐという。米国の中国に対する戦略的焦りにより、その半導体政策が過激化しているが、その実施にはさまざまな抵抗力がある。

 (一)対中半導体政策そのものに問題がある。同政策はマクロレベルの新旧の産業政策間の調整を無視し、ミクロレベルの政府支援及び輸出規制に焦点を絞りすぎ、政策の実施に混乱が生じている。バイデン政権は産業移転と市場調整に必要な時間とコストを無視し、半導体製造業の自国回帰の難易度を過小評価し、やり方が性急になった。

 (二)同政策は関連企業から反発を受けている。米政府の政策的手段による半導体市場への干渉行為は、実質的に国民から利益を奪い、関連企業の利益を大きく損ね、その世界的な競争力を落としている。米半導体産業協会は以前、「ホワイトハウスは対象が広すぎ、あいまいで不明瞭な、時に一方的な規制措置を度々講じているが、これは米国の半導体業界の競争力を落とし、サプライチェーンを破壊し、重大な市場の不確実性を生む恐れがある」と表明した。

 (三)同盟国の協力の足並みが揃っていない。EUは米国に追随し「欧州版」の半導体法案を掲げ、半導体振興戦略に430億ユーロを拠出する。欧州は戦略的自主性のある「欧州チップ」を作ると称しているが、実際には政策に空洞がある。

 EU自身の半導体の需要と供給の現実を考慮せず、EUを従来の非先進製造プロセス車載半導体から強みを持たない事業の高級半導体に転向させようとすれば、それは自身の利き腕を切ることに他ならない。欧州は人材、技術、市場の面で十分な基礎を持たず、無理に推進しても米国への依存が強まり、米国の半導体戦争において鉄砲玉に成り下がるだけだ。米国の同盟国は利己的な経済民族主義政策への警戒と不満を強めている。欧州の多くの国は米国の半導体連盟の中で本腰を入れず、戦略的自主性の機会を探っている。また日本やオランダなどには中国との協力による重要な利益があり、経済の利益を完全に放棄し米国の「脱中国」に協力することはない。

 米国の今後の対中半導体規制の「確実」には「不確定」が潜んでいる。

 米国の民主党・共和党及び利益集団の反中が日増しに共通認識化し、かつハイテク封鎖政策の流れを受けることで米国の対中半導体戦争が続き、日増しにエスカレートし広がりを見せることは確実だ。

 その一方で、多くの不確定要素が米国の対中ハイテク政策に影響を及ぼす。まず、米国国内の大統領選に伴う政策の調整は、米国の対中ハイテク政策の具体的な動向と駆け引きの分野を決め直し、既存の半導体法案が別の形式で存続する可能性がある。次に、米国経済に潜む大きな危機が発生すれば、圧力を受ける米国は対中競争の緩和を求め、既存の対中ハイテク封鎖政策を調整せざるを得なくなる。それから、百年に一度の変動を迎えた米国は、世界での地政学的な駆け引きにおいて消耗戦のリスクがあり、中米ハイテク競争の先行きをより不確実にしている。最後に、中国が技術面でブレイクスルーを達成し、さらには米国を追い越せば、米国の対中ハイテク封鎖は自壊する。米国は現実を見据え、その政策を変更せざるを得なくなる。

 米国の対中半導体戦争は中国のハイテク産業に陣痛をもたらしたが、中国が独自の自主的な高級半導体システムを構築するより大きな原動力をもたらした。

 中国が米国の半導体封鎖を突破する活路は、技術の独自の研究開発及び超越と、より広範な科学技術協力及び産業協力パートナーシップの構築にある。内部の技術難関攻略、科学技術イノベーション、高水準の対外開放及び国際協力により、中国が半導体分野のブレイクスルーを達成する日は近い。(筆者=宋文龍・北京第二外国語学院国際政治学科主任、准教授)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年10月18日