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japanese.china.org.cn |19. 10. 2023

バイデン氏の中東訪問、首脳会談のキャンセルで暗雲

タグ: イスラエル バイデン ガザ地区
中国網日本語版  |  2023-10-19

 バイデン米大統領は18日にイスラエルを訪問した。訪問の前にガザ地区の病院が空襲を受け、数百人が死亡した。パレスチナはイスラエルに批判の矛先を向け、イスラエルは関与を否定した。ヨルダンは18日未明、アンマンで同日開催する予定だったパレスチナ、ヨルダン、エジプト、米国の4カ国の首脳会談を取り消すと発表した。

 アナリストは、「バイデン氏の今回の訪問には二つの目的があった。国内に向けては、今回の訪問により来年の大統領選の気運を高め、海外に向けてはイスラエル支持を表明すると同時にアラブ諸国との関係のバランスを取る。しかしガザ地区の病院への攻撃、その後のアラブ諸国の首脳による会談のキャンセルにより、バイデン氏は今回の訪問で苦境に立たされた」と指摘した。

 米CNNは、「バイデン氏はパレスチナとイスラエルの新たな衝突において、憤りを示しながらも衝突のエスカレートを回避するというジレンマに陥っている。バイデン氏はアラブ諸国の首脳との会談により自身の目的を達成し、イスラエルを支持しながらアラブのパートナーとの関係を調整しようとした。ところが会談が最終段階になりキャンセルされた。これはバイデン氏が新たな外交の難題に直面することを意味する」と伝えた。

 米国は長年に渡り中東で度々衝突を引き起こし、さらには戦争を発動し政権交代を直接促した。これにより中東の各国では戦火が続き、衝突の泥沼と安全の苦境に陥った。中東研究所の学者は、「米国の中東におけるイメージは失墜している。米国人は中東で道徳を無視する」と述べた。

 ところが来年の大統領選が迫り、人道主義の深刻な危機に直面する中、米国の政治家は中東問題を選挙に利用しようとしている。米戦略国際問題研究所(CSIS)中東問題専門家のヨーン・アルトマン氏は、「バイデン氏の政治家としての立場が今回の訪問の意義を決めた。バイデン氏にとってこれは選挙の延長線上にある」と述べた。

 米誌「ニューズウィーク」(電子版)は記事の中で、「パレスチナとイスラエルの衝突により、ホワイトハウスは潜在的な地域の戦争と向き合うことを強いられた。政府の数週間、もしくは数カ月の精力が消耗される可能性がある。大統領選に向け力を注ぐ中、これはバイデン氏にとって最悪の外交の危機だ」と指摘した。

 アナリストは、「イスラエル関連の議題が近年、米国の政党政治において加熱している。共和党は頻繁に、イスラエルへの支持が不十分と民主党を攻撃している。バイデン氏は今回の訪問でイスラエルに対する一貫した約束をアピールすることで、国内のユダヤ人系及びキリスト教福音派の票を固め、集めようとした」と指摘した。

 ところが困ったことに、民主党内はバイデン氏の親イスラエルの立場を完全に支持しているわけではない、多くの進歩派議員は「イスラエルの空襲により一般人が死傷」と批判し、双方の即時停戦とガザ地区への人道支援を呼びかけている。また世論調査によると、民主党支持者のパレスチナへの同情が近年強まっている。そのためバイデン氏が今回の訪問で政治的なポイントをどれほど稼げるかは未知数だ。

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年10月19日