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japanese.china.org.cn |25. 01. 2024

中国の人権批判は虚構の宣伝 人権・民主の「二枚舌」に普遍性ない

タグ: 人権
人民中国  |  2024-01-25

 二枚舌の実例 

 欧米が人権抑圧を問題視しない最貧国や中進国での人権状況を少し紹介したい。西側が「アジア最大の民主主義国家」とみなすインドは、モディ政権下でヒンズー国家の再興が国家目標となった。そのため、少数派のイスラム教徒への弾圧が顕在化している。インドの国家目標は成長とヒンズー国家形成にあり、イスラム教徒の独立は認められないとして、モディ政権は弾圧を正当化する。 

 バイデン米大統領はおととし末、およそ110の国・地域のリーダーを招いて「民主主義サミット」を開いた。中国を孤立させ「民主主義国」を団結させるためだ。 

 招待国の顔ぶれから透けて見えるのは中国包囲を強化する狙いであり、テーマは「専制主義からの防衛」「汚職との闘い」「人権尊重の促進」の3点だった。 

 人権尊重といううたい文句から参加国を見ると、アジアではインドやパキスタン、フィリピンが招待される一方、ベトナム、シンガポール、タイは除外された。社会主義国のベトナムはともかく、シンガポールとタイが招かれなかった理由はよく分からない。 

 日本政府内にもサミットの狙いが露骨すぎるため、参加には慎重論があった。また、米国は当初、「民主主義の優等生」と見なす台湾の蔡英文氏を招く予定だったが見送られた。招けば開催の意図が白日の元に晒される上、「一つの中国」政策を空洞化して「一中一台」に政策変更したと見なされるリスクがあったからだ。結局、サミットは盛り上がることなく終わった。 

 米中の力逆転 

 これまで移民や難民受け入れに積極的だった欧米先進国で受け入れ政策を止める動きが先鋭化し、その過程で暴力的に難民に対応する例が増えた。トランプが主張しバイデンも継承しているメキシコ国境の壁建設に象徴されるように、移民希望者への差別や暴力が多発している。その理由は、これまで享受してきた経済発展に陰りが差し、もはや人権などにこだわれなくなったことにある。 

 イタリアへの移住希望者を乗せた船を同国の沿岸警備隊が阻止し、死傷者が出る痛ましい事件が起きている。また、英国も移民受け入れ政策を変え、ドイツをはじめ各国で外国人いじめの人権侵害は日常化している。 

 中国批判は中国の台頭を抑えるのが主目的であり、一極支配を維持するためなのだが、両国の力関係の逆転によって米国の焦りが目立つ。対中人権批判の説得力は落ちるばかりだ。  

 プロフィール 

 1972年共同通信社に入社。香港、モスクワ、台北各支局長、編集委員、論説委員を経て、2008年から22年まで共同通信客員論説委員。 

 「人民中国インターネット版」2024年1月25日

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