長江巫峡谷の鍾乳洞で古代人類の遺跡発見
(1999年12月2日)


    中国科学院古代脊椎動物及び人類研究所の黄万波教授は、重慶市巫山の河梁という所にある鍾乳洞で、古代人類が暮らしていたと見られる痕跡を発見した。この遺跡からは多くの遺物が見つかり、その保存状態も良好だ。

    99年の夏、巫山県に住む自営業者、朱開均氏が故郷の河梁区の観光開発のための視察に出かけたのが発見のきっかけだった。鍾乳洞の奥深くに足を踏み入れた朱氏は、そこで哺乳類の動物の化石を発見。巫山県政府に報告すると、政府もこれを重視し、黄万波教授や竜骨坡巫山古代人類研究所のスタッフに調査を依頼した。黄教授らは鍾乳洞内で1カ月あまりにわたる試掘調査を行い、かつてここに水路があったことを示す沈殿物や人の頭蓋骨の一部を発見。このほか鍾乳洞の天井部分で30種類以上の哺乳類の化石、上洞、下洞とよばれる洞窟では石器が40点余りが見つかった。さらには、古代人類が火を使っていた跡も発見された。

    その後の研究により、およそ1万5千年前に「河梁人」という古代人類がここで生活していたことが分かった。長江の三峡地区では1万5千年も前に人の営みが始まっていたことになる。河梁人は巴山の主として石器で狩りを行い、太陽光で火をおこして暖を採り、繁栄していたと考えられる。巴蜀文化のうちの巴の文化、すなわち現在の重慶文化を研究するには、この河梁人とその文化から始めることが必要になったと言えるだろう。