敦煌莫高窟の文化財考古学調査でこのほど、またもや重大な発見があった。莫高窟北区の洞窟で、のべ10年の歳月をかけて続けられてきた調査が一段落し、これまで軽視されてきた北区の洞窟にも、極めて貴重な文化財が大量に眠っていることが分かった。
莫高窟は、またの名を「千佛洞」とも呼ばれる。しかし実際には、仏像の宝庫とされてきた南区の洞窟には492体の仏像しかない。北区にも200以上の洞窟があったものの、窟内の壁画や塑像は少なかった。これらの洞窟は当時の大工や画家たちの住居とされ、あまり注目を集めていなかった。
1988年、敦煌研究院は考古学界でも中心的な研究者グループを派遣し、この北区の洞窟で全面的な発掘調査を始めた。96年、この「敦煌莫高窟北区洞窟の考古学研究」は、国の第9期5カ年計画の社会科学プロジェクトの重点課題に組み込まれた。研究スタッフたちは243の洞窟一つひとつの整理、発掘作業を展開。今までのところ、これらの洞窟が主に僧侶たちが生活したり、座禅を組んだり、あるいは埋葬された場所であるという見方が強まっている。
これらの洞窟では経文の一部が大量に見つかった。その文字も漢字、チベット文字、ウイグル文字、サンスクリット文字、西夏文字、パスパ文字、ウイグルモンゴル文字、シリア文字の八種類があり、そのうちパスパ文字、ウイグルモンゴル文字、シリア文字は今回初めて発見されたものだ。敦煌の文献でこれまで欠落していた部分を埋める大きな発見といえる。国内で初めて見つかった西夏文の『砕金』、世界で唯一現存する『地蔵菩薩本原経』なども、重要な発見として注目されている。
このほか北区の洞窟からはペルシャの銀幣、西夏の銭幣、ウイグル文字の木版活字、陶器、木器、紡績品など、極めて高い学術的価値をもつ文化財も出土した。
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