海南島から東南約330キロの海域に浮かぶ西沙群島。東沙と南沙、中沙とともに南中国海の4大群島と呼ばれる。
西沙群島は北回帰線の南に位置するため、雨量が豊富。付近の海域の水温も年間を通じてほとんど変わらない。こうした自然条件が独特の景観を創出した。
大陸から遠く離れ、人跡未踏の地であることから、周囲の海水は非常に美しく、透明度は最高で水深40メートルまで達する。連綿と数キロもつづくサンゴ礁、付近の海域に生息するさまざまな海洋植物や魚類、島に棲みつく数え切れないほどの海鳥……。ここ数年の間に、この神秘的な海上の“浄土”にも観光客が訪れるようになった。
西沙群島は南中国海航路の経由地だった。隋の時代に南中国海を経て今のマレーシアに使節が派遣され、唐代には高僧・義凈がここを通ってインドに渡っている。古代、陶磁器や絹、香料を満載した商船が行き来していたことから、「海上のシルクロード」と呼ばれるようになった。
西沙の地はインド洋と西太平洋に接する海上の“要塞”。地理的に非常に重要で、自然資源もかなり豊富だ。第2次世界大戦前、西沙群島は一部の島嶼がフランスに占領された。太平洋戦争が勃発すると、日本の手に落ちるが、大戦終結後に南中国海の他の島嶼とともに再び中国に帰属した。
自然は限りなく美しい。ヤシの葉が風になびき、さざ波が心地よく響きわたり、空気はどこまでも清新だ。年平均気温は26度。西沙群島では軍人と民間人による建設が進められ、その姿は大きく変わった。それまでは荒れ果てた小島にすぎなかったが、今ではそのひとつひとつがまさに海上の楽園。駐屯する兵士の生活条件は大幅に改善された。
本写真集は西沙群島防衛のため長期駐屯した某部政治委員の陳儼氏が撮影した。陳氏は1954年12月生まれ。1969年に中国人民解放軍に入隊。1996年に国防大学博士課程に合格し、国内初の国防経済学博士となった。
「チャイナネット」2005年7月