宰蕩村に暮らす今年60歳の胡官美さんは、国家級無形遺産であるトン族大歌の伝承人である。彼女は両親の歌を聞いて大きくなり、生まれつき音感があるようで、歌も上手で、両親が歌った曲をすぐに覚え、5歳の時に両親と共に歌うようになった。「数十年間、学びながら歌い、多くの学生たちにそれを伝えてきた。教えた学生は600人に上る」と話す胡官美さんの心の中には100曲以上のトン族民謡があり、各種の歌い方を熟知し、まさに「生きた楽譜」である。毎日夕食を済ませた頃、村の子どもたちが歌を学びに彼女の元を訪れる。
トン族大歌は春秋戦国時期に始まり、すでに2500年以上の歴史を有する。ポリフォニー、指揮なし、伴奏なしの自然の民間の合唱形式であり、「清い泉のように光り輝く音楽、古い夢をかすめる旋律」と言われる。指揮と伴奏がないトン族大歌で最も難しいのは、各パートをうまく合わせることである。そのため、合唱には先生が必要であり、彼女は歌手たちがリズムとメロディーをつかみやすいようにリードする。宰蕩村で、胡官美さんは最高の女性教師である。2007年、彼女は省級無形文化遺産プロジェクトのトン族大歌の代表的伝承者になった。2010年、中国文学芸術界連合会、中国民間文芸家協会から「中国民間文化の傑出した伝承人」の称号を授与された。2012年、国家級無形文化遺産のトン族大歌の代表的伝承者になった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年7月12日