2005年2月、『中国が世界を変える際に』という本がフランスで注目を浴び、急速にフランスのベストセラーにランクされることになった。「この本は善意の『中国脅威論』である」と考えている人もいる。このほど、「中国が世界を変える際に」という文章がフランスの「レゼッコー」(Les Echos)に掲載され、前述の懸念に対して回答を与えている。この文章のサブタイトルは「一人の中国人の答え」となっている。
先般、『中国が世界を変える際に』の著者、フランスの「レゼッコー」の編集副主幹であるエリック・イズラライビッチ氏と中国外交学院学長、元フランス駐在中国大使の呉健民氏は北京で、自らの見解に基づいて討議を行った。
中国の経済発展は世界にとって不安定の要素となっているのか?
イズラライビッチ氏は「中国の目覚めは世界を揺さぶっている。人間の歴史において13億の人口を持つ大国がこれほど急速に発展を遂げたことはない」と驚嘆した。それと同時に、同氏は「世界人口の20%を占める中国の経済発展は世界にとって不安定、さらに激動の要因となるかもしれない。中国の経済発展は世界経済の諸分野とかかわりがあるものであり、中国の安価の労働力、商品および大量の原材料買付は世界に多方面から影響を与えている」という懸念を示している。
呉健民学長は「世界的範囲で、中国によって買い付けられる原材料が増えているが、原材料価格の高騰は中国の原因だけだとはいえない。すべての責任を中国のせいにする道理はないだろう。逆に、中国の経済発展がヨーロッパに大きなチャンスをもたらすということを、ヨーロッパの人々は直視しなければならないものとなっている。中国における商品の輸入・輸出会社は大体多国籍企業である現実は、ある度合いにおいてヨーロッパの発展も促し、ヨーロッパに就職口を作り出している。例えば、フランスEDFと中国の協力はフランスのために1万の職場をつくり出していること。当面、中国とヨーロッパは重要な協力のチャンスを迎えている。また、中国の経済は発展しつつあるものの、その経済発展の成果は世界全体と分か合うものとなっている。2003年における中国の経済総量は世界の3.9%しか占めていなかったが、関係データによると、中国が世界経済に対する貢献度は17.5%にも達した」と語っている。
イズラライビッチ氏は「中国の経済の活力は世界経済の安全における重要的な要素となっている。20世紀初の株式市場のクラッシュ、IT産業のバブルおよび同時多発テロ事件は世界経済に数々の不安全要因をもたらすことになった。中国の経済規模が存在しなければ、世界経済は何回も不況に陥るに決まっているだろう。しかし、強大なエンジンである中国経済は絶えず世界経済に動力を注ぎ込んでいる。中国の『世界強国の隊列に戻ることを願う』意思を感じており、世界に与える影響、人口の規模と経済の台頭は中国の国際地位を高めることになるとも見ている。自国の経済利益を守るために世界への影響力を強化することは当然だが、当面、中国からは『植民化』と『世界制覇』の傾向を見てとることはない」と認めている。
「千余年以来『世界制覇』を追求することのなかった中国はいまさらその野望を求めるはずはないだろう」と、呉健民学長は歴史的視角から見解を明らかにした。「歴史こそ真実の立証である。中国文化は五千年の間中断したことはない。世界的範囲で中断することのなかった文明は中国文明だけであろう。原因としては、中国文明が強い包容性を持っていることである。中国は他国と「双方ともにメリットを手にする」体制を構築することを願っており、『世界制覇』の野心的な目標を達成しようとはしていない」と語った。
中国は「中央集権」と「市場経済」の矛盾に直面しているのか。
イズラライビッチ氏は「当面、中国は社会、金融、生態と政治の諸分野でさまざまなリスクに直面している。中国は遅かれ早かれ、『中央集権』と『市場経済』の矛盾を解決しなければならなくなる」という考え方を示した。
呉健民学長はイズラライビッチ氏の見解に反対した。「市場と計画はいずれも経済調整の手段であるので、資本主義でも社会主義でも、この二つの調整手段を使うことができる。西側の人々は自らの考え方を持って中国を考察しているが、文化の多様性のため、世界には共通の経済パターンは存在しない。中国は独特の発展パターンをもち、さらに、事実によってそれが正しいことが証明されている。いずれの国でも民主のプロセスは漸進的なもので、社会発展のレベル、人々の教育レベルによって決まるものである。中国の人たちにとって、生活レベルの高低や社会が前へ進んでいるのか、それとも後退しているのかこそ、当面の中国が矛盾に直面するかどうかを判断する基準だろう」と呉健民氏は語った。
最後に、イズラライビッチ氏は次のように語った。「『中国が世界を変える際に』の中のさまざまな分析は中国の発展から脅威を感じているものではない。中国経済の台頭は世界にとっていいことであるが、そのプロセスの中には、さまざまなチャンスとリスクが共存することを見てとらなければならない」。同氏はヨーロッパも経済発展の加速、国際社会への影響力の強化に努め、中国とより良い関係を保つ願いを明らかにした。
「チャイナネット」 2005/04/07