「第一財経日報」の記事によると、2006年の日系企業の対中直接投資(FDI)額は46億ドルを天井として、2005年より29.58%減少しており、全般的状況から見ると、中国の外国投資総額における日系企業の投資額の割合も05年の10.82%から06年の7.3%に下がっている。
ジェトロ(日本貿易振興機構)が公表したデータによると、2006年上半期における日本の中国製造業に対する実行ベースの直接投資額は22.44億ドル、昨同期比31.4%減となっており、昨年の下半期には、投資減少の勢いがつづいている。
その理由は以下のいくつかの面にあると見られている。
まず、「企業所得税一律24%」という政策の影響
昨年末の第10回全国人民代表大会常務委員会・第25回会議では、国内企業と外資系企業に対する所得税を一本化する「企業所得税法草案」が、今年3月の第10回全国人民代表大会5回会議で審議されることが決まった。関係筋によると、もし今年中に「企業所得税法」が可決されると、関連細則もともに公布されることになっている。
「これは日系企業が最も懸念していることである。もしかつて享受した税制上の優遇措置が取り消されたならば、私たちは対中投資の増減を考えなければならない。これから、私たちは具体的な細則に基づいて、投資を比較的メリットのある産業にシフトすることになるだろう」、と日系企業の代表の1人は語っている。
その次ぎは、コスト上昇の影響
多くの欧米企業と同じように、日系企業が中国に投資する際、安価な人件費、安価な原材料費及びポテンシャルのある市場などの要素に好感しているからである。しかし、現在、中国の土地、原材料、人件費及び自然資源などの生産要素の持続的な値上がりに伴い、日系企業は投資収益の減少を懸念している。
さらには、中国の外資導入政策の調整の影響
「入手したた情報をみると、日系企業は中国のトータルな投資環境に満足してる。2003年には、日系企業の対中投資はやや過熱気味となり、トヨタなど日系大手企業がほとんど中国に対して投資した。しかし現在、製造業への投資ブームはもう終了し、日系企業は電子、家電及び自動車など業種への関連投資を調整しなければならない。」、と商務部研究院の張威副主任は述べている。
調整中の日系企業は、ちょうど中国の外資導入政策の調整にも直面している。第11次五カ年計画期(2006―2010年)に、中国は外資導入政策をかつての「行政手段による外資導入、外資規模の追求」から、「市場経済の法則にもとづいた外資導入、外資の質の追求」へと転換させ、技術、省エネ、環境保護及び雇用創出などの面から、外資の総合レベルを評価することになっている。これも日系企業にプレッシャーがかかる理由のひとつとなっている。
最後に、日本政府の奨励政策の影響
現在、「資金の回流」は日本の対中投資における重要なパフォーマンスとなっている。06年には、日本経済の堅調な勢いにともない、日本政府は日系企業に対して、資金を国内に還流させ、国内のハイエンド産業への投資を奨励することになった。したがって、日系企業は日本経済の回復の勢いに順応し、海外投資を減少し続けている。その結果、日系企業は日本経済の発展に寄与すると同時に、国内で重要な技術を研究・開発することによって、先端技術の海外への流失をも防ぐことになっている。
「チャイナネット」2007年2月14日